今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。おかげ様で、まもなく通算3500号を迎える。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 長嶋茂雄のモテっぷりを紹介
今回は『1960年3月9日号』。定価は30円だ。グラビアは南海、巨人などのキャンプ風景。巻末の連載『ぼくの10代』には、
中日・
森徹が登場し、上半身裸で、まるでプロレスラーのような筋骨隆々の写真だ。さすが力道山の弟分。
本文巻頭は『待ってたエースがやってきた!』。故障で出遅れていた巨人のエース格・藤田元司、
堀内庄、さらには新人・
堀本律雄らが2月半ば過ぎ、ようやくキャンプに合流したという話だ。
ただ、堀本以外の2人は表情が暗い。いまだ藤田はいまだ肩痛を抱え、堀内は当時タブーと言われた肩の手術を受けた後。いずれも状態はあまりよくなかった。
座談会は『ことしも優勝するんだ!』と題し、南海から
長谷川繁雄、
広瀬叔功、
杉山光平、
杉浦忠が登場。この中で新婚の広瀬が59年「死にたかった話」をしていた。
「あのときは首位を競っているし、1対0で杉(杉浦)が一生懸命ほうっているのにね。9回裏や。阪急戦の西宮でサヨナラトンネルエラーで逆転ですよ。それで頭にきてしまってね。ファンの人が車の中で、お前そんなにしょげたらいかんぞ、頑張れよというのですね。そうすると、涙が出るんですね。みんなに見られまいと窓を開けて外に顔を出してね。死んでもいいじゃなくて、死にたいと思ったですね。そんなものですよね。情けなかったですね」
『12球団週間報告』の巨人では、2月20日に24歳となる
長嶋茂雄のモテっぷりを紹介。キャンプ3日目、宿舎に向かうバスが取り囲まれ、長嶋が見えるガラス窓をたたき割った女子学生がいるというからおだやかではない。
五味康祐の連載『黒眼鏡の打者』は、しばらく見ない(読むのをさぼっている)間にとんでもないことになった。天才打者・江川は大洋・三原監督の誘いをあきらめ、巨人入りを決意。理由は思いを寄せていた女性があこがれている「彼」が三原だったからという。実名を出しつつ、どこまではじけるのか。
『ルポルタージュ~キャンプの夜』という企画もあった。艶っぽい話かと思ったが、意外と普通だった。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM