
新球を習得し、2年連続2ケタ勝利を目指す濱口
宜野湾キャンプのブルペンで2年目の左腕・
濱口遥大の存在感が光っていた。時折、荒れるボールはご愛嬌。150キロに迫る真っすぐは威力抜群で、変化球も交えて熱のこもった投球を披露していた。
「曲り、どうっすか?」「今の(ボール)弱い!」「よっしゃ!」
隣で黙々と投げている先輩左腕の
石田健大とは対照的だ。力のある真っすぐと宝刀チェンジアップが濱口の代名詞とされている。しかし、実はそれ以外の変化球も一級品だ。
8回一死まで無安打の好投を演じた昨年の日本シリーズ第4戦では、チェンジアップに加えて130キロ台中盤のフォークが
ソフトバンク打線を手こずらせた。持ち球は、カーブ、ナックルカーブ、スライダー、チェンジアップ、フォークと多彩だ。
現在、キャンプでは新球「スラッター」を試している。スライダーとカットボールの中間に位置する速い変化球で「左打者の外に逃がしたり、右打者のヒザ元に食い込んだりするような軌道が特徴」と説明する。真っすぐとチェンジアップを軸に、フォークも強力。ここに新球が加われば大きなアドバンテージとなる。
しかし、初めての実戦となった2月12日の紅白戦(宜野湾)では、3イニングを無失点に抑えるも「打者の反応を確認したかったのですが、まだ使える段階ではないことが分かりました」と思い描くような手応えはつかめず、スラッターの完成にはもう少し時間がかかりそうだ。
プロ1年目で2ケタ勝利をマークし、今季は他球団から警戒されることは必至。さらなるレベルアップを果たすために、新しいチャレンジを重ねていく。
文=滝川和臣 写真=小山真司