
黄金時代の西武でリーダーを務めた石毛
「今日はこういったことを話す」
西武黄金時代、キャプテンを務めていた
石毛宏典らベテランは当時の
森祇晶監督からミーティング前、その内容を明かされていた。石毛たちがまず内容をしっかりと理解しておく。中堅、若手選手の頭に「?」マークが浮かんだら、ベテランが細かく噛み砕いて説明する役割を担っていたのだ。
さらに、森監督は選手とコミュニケーションを取ることが少なかったため、事あるごとにナインにひと言を述べるのはキャプテンの役割。ただ、そのときの感情の赴くままに言葉を口にしていたから、内容は特段覚えてない。
「だけど、時が経ち、ある人に言われたのが『冷静に、熱くなれ』とゲキを飛ばしていたね、ということでした」
日本シリーズで幾度も
巨人を打ち負かし、球界の盟主の座を奪ったころだったのだろう。パ・リーグを制することに慣れ、ナインが冷め過ぎていると感じたからこそ飛び出した10文字。まさにキャプテンらしい、的確な言葉だと思う。
やはり、森監督在任9年間でリーグ優勝8回、日本一6回と西武が王者であり続けたのも、強烈なリーダーシップを石毛が発揮したからなのは間違いないことだ。
今季のプロ野球でもチームリーダーの力がペナントの行方を左右するのは確かだろう。
文=小林光男 写真=BBM