
試合後、ウイニングボールを手に報道陣に笑みを見せた中畑監督だが、すぐにスタンドのファンへ
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は2月19日だ。
DeNA初代監督、
中畑清監督の「初白星」、つまりはDeNAとしての「初白星」が2012年2月19日だった。
チームにとって3つめの対外試合となる
オリックスとの練習試合(宜野湾)で、DeNAは6対5で初白星。1回、復活を期す
吉村裕基が先制タイムリーを放つと、3回には
森本稀哲のソロ、5回には
石川雄洋の適時打で追加点。6回に逆転を許したものの、8回にルーキー捕手・
高城俊人が二塁後方に決勝適時打となるポテンヒット。そのまま1点差で逃げ切った。ウイニングボールを受け取った中畑監督だが、記念球はさっさとスタンドのファンへ。「本番(シーズン)で、家の倉庫にいっぱいためたいね」と笑った。
勝利が薬になる、とはいえ、課題は山積み。第一の懸案材料は投手陣だが、対外試合初戦の
日本ハムとの練習試合(名護)では、打線が相手先発・
斎藤佑樹から4点を奪いながら最終的には7対9で逆転負け。このオリックス戦も同様、序盤に打線が順調にリードを広げながら、6回の
藤井秀悟の乱調で最後は接戦に持ち込まれた。中畑監督は自ら音頭を取ってチームで戦う姿勢を築こうとしているが、まず投手陣と野手陣の信頼関係がなければ、「和」をつくることもままならない。
宜野湾球場で行われた、このオリックス戦と前日の
楽天との練習試合は、中畑監督の発案で大震災支援のチャリティーゲームとして開催。指揮官や選手たちが試合前、来場者に義援金を呼び掛けた。故郷・福島は、いまも原発事故の影響を受けており、「風化させてはいけない」と中畑監督。被災地に勇気を与える戦いをするためにも、指揮官がやるべきことはまだまだ、たくさんありそうだ。
写真=荒川ユウジ