【楽天】投げる哲学者? 高梨雄平が侍ジャパン初選出

ルーキーイヤーの昨季は中継ぎとして予想以上の活躍を見せた
2年目左腕が予想外のジャンプアップを見せた。
楽天のセットアッパー・
高梨雄平が2月20日、侍ジャパンに初選出された。「なかなかないことなのでうれしい。貴重な経験。引き出しが増える」と喜びを語った。
昨季は中継ぎとしてルーキー初勝利12球団一番乗りを決めた。二軍降格もあったが、そこで自らの投球を再確認。再昇格してからは“勝利の方程式”に組み込まれ、46試合に登板して防御率1.03と抜群の安定感を誇った。
だが、このキャンプでは試行錯誤の毎日を送っている。16日、
阪神との練習試合では1回を投げて7失点と炎上した。それでも修正ポイントは分かっている。練習では左足の使い方を重点的に確認。「開幕までに上げていければ」と焦る様子はない。
早大3年時に東京六大学リーグで完全試合を達成した逸材だが、その後はイップスに悩まされた。そこで手にしたのが哲学書で、自らの内面と向き合い、復活への道を探った。社会人のJX-ENEOSに進み、16年秋のドラフトで9位指名を受け、ギリギリのところでプロへの道をつかんだ苦労人だ。
「代表はテレビの中の舞台というか、ジャパンのユニフォームを着るという実感がまだない」と語る高梨。それでも、誰もがあこがれるあのタテジマを着れば、スイッチが入るのだろう。「名前が呼ばれたら行くというスタイルを変えずにやっていきたいし、どこまで自分が普段どおりに投げられるかを意識してプレーしたい」。希少価値の高い変則サイドハンド。楽天で見せたような冷静沈着なピッチングが、世界を相手に見られるはずだ。
文=富田 庸 写真=神山陽平