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巨人・沖縄キャンプ中の一コマ。守備に打撃にと大忙しの小林誠司はサブグラウンドで守備練習を終えると、自転車で本球場へ。この後、2時間打ちっぱなしの打撃練習、さらに居残り特守、特打、ウエート・トレーニングと約9時間みっちり
時計の針が18時30分をこえたころ、巨人の小林誠司がようやく1日の練習を終えた。沖縄2次キャンプ中の対外試合のない練習日。9時30分に練習を開始したこの日は、16時にはチーム全体のメニューを消化しているから、2時間半の居残り練習である。
2年連続で規定打席に立った、押しも押されもせぬジャイアンツの正捕手ながら、新人や実績のほとんどない2~3年目の若手たちに混じり、球場を後にするのも一番最後。「まだまだ若いし、体力はあるほうなんで(笑)」と意に介さないが、しかもこれはこの日に限ったことではなく、2月1日のキャンプイン、もっといえば昨年秋のキャンプから続く、お決まりの光景なのである。
「打たないと、試合に出られない」
昨シーズン終了後から小林が繰り返し口にしている言葉だ。2年連続で規定打席をクリアした12球団で唯一の捕手ながら、打率は2年連続最下位。2016年が.204、17年が.206と2割1分にも届かず、ディフェンス面での貢献度は自負するものの、オフェンス面では足を引っ張ったことを本人も自覚している。
2001年の入団以降、攻守両面でチームの中心だった
阿部慎之助を比較対象にされることもあり、周囲は昨季ペナントレース終盤戦に一軍デビューし、21試合の出場ながら4本塁打を放った、“打てる捕手”の
宇佐見真吾や、昨季途中に支配下昇格した
田中貴也らとの正捕手争いを騒ぎ立てるが、小林の頭にあるのは彼らとの、いわば目先のポジション争いなどではない。
「打てるキャッチャーが出てくれば、試合数も減ると思っていますし、打たなかったら終わりだなということは分かっています」としつつも、「自分は試合に出続けたいですし、全試合、フルイニング、最後の瞬間までマスクをかぶっていたいと思っています。キャッチャーは優勝しないと評価されないポジション。それは阿部さんにも言われていることです。今年の目標は日本一しかありません。勝つことだけ。そのためにいま、やらなければいけないことは何なのか、ということです」と連日の猛練習の目的を明かしてくれた。
すべてはチームの勝利と日本一奪回のために。今日も小林はバットを振り続ける。
文=坂本 匠 写真=小山真司