長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。 王天上[1979-80南海/外野手]
助っ人の珍名はいくつもあるが、これはそのなかでもかなりレベルが高いものと言える。いや、珍名と言うべきではないかもしれない。要は、当て字がすごいということなのだ。
1979年、南海に入団したフランク・オーテンジオ外野手。3Aでは77年に本塁打、打点の2冠、さらにMVPにも輝いたという大砲だ。キャンプから快調に飛ばし、オープン戦でも特大ホームランを打ちまくったオーテンジオに対し、球団フロントは多少浮かれたのか、大胆な策に出た。
3月14日、登録名を「王天上」とすることを発表。名前の読み自体は同じで、それに漢字をあてただけなのだが、意味が「世界のホームラン王、
王貞治(
巨人)より上に行ってほしい」というのだからすごい。
しかしながら、いろいろ考え過ぎると失敗するのが世の常。王天上も、同年公式戦に入ると一気に失速。23本塁打も打率は.248に終わり、翌80年は36試合の出場で解雇となった。
写真=BBM