今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 本文巻頭特集は『水原監督捕りもの帖~御用』
今回は『1960年12月21日号』。定価は30円だ。グラビア巻頭は『渦中の人
水原茂』。
巨人残留説のほか東映、大毎監督説があった。週べ取材班も気合を入れて水原の動向を追い、本文巻頭特集は『水原監督捕りもの帖~御用』。東映・大川社長との密会があるのでは、とウワサされる水原を追って巨人納会ゴルフのあった箱根に詰めかけた報道陣は、東京に戻るため、水原が乗り、
藤田元司が運転するリンカーンを追跡。スピード狂だった藤田が運転するリンカーンはすさまじい運転で新聞社の車を引き離し、焦った新聞社の車は、1台はバイクと正面衝突、1台は後ろのタイヤが外れ、1台はエンジンから火を噴くと、まるでルパン三世と銭形のとっつぁんとのカーバトルのようになった。
事態が動いたのは1日空けた11月28日、なんと大川社長が記者たちが取り囲む水原邸に正々堂々、現れたのだ。油断していた(?)記者たちはカメラマンを連れてきておらず、東京新聞の記者だけが近所のタバコ屋からカメラを借りて翌日の新聞に掲載することができたという。その後も密着追跡取材は続いたが、この号の締め切りまでに決着はつかなかった。
『川上内閣閣僚会議』は巨人・
川上哲治新監督以下、
中尾碩志コーチ、
別所毅彦投手兼任コーチ、
広岡達朗内野手兼任コーチ、
武宮敏明コーチが一堂に会す豪華版。川上監督は語る。
「ジャイアンツは、これから先永久にあると思うんです。日本の社会がある以上はね」
世界史で言えば「大巨人主義」宣言か。
『突風大毎を襲う』では、大毎球団から毎日側の役員が総引きあげしたとある。毎日と大映が合併した球団名だったが、これからどうなるのか。永田雅一会長は、
西本幸雄監督を退任させ、水原を監督にしたい、と考えていたが、大映側に押され、思うような交渉ができていなかったようだ。
いわば死に体の西本監督だったが、湯河原での納会で大騒ぎし、満面の笑顔で踊っていた(?)写真がセンターグラビアにあった。ここまで笑顔の西本幸雄の写真はない。
それは花王石鹸の歌をうたいながらだったらしい。
あごのしゃくれたお月様、
から始まる人気にCMソングで、西本監督のあごが出ていたことから、
あごのしゃくれた監督さん、ベンチの中からのぞいてる…
と詩を変え、大盛り上がり。……やはり永田会長は所用で欠席だったらしい。笑顔の別れであったのは、西本ファンの当連載担当としてもうれしい。もっとさびしいものだと思っていた。
国鉄は元立教大監督・砂押邦信が監督就任。監督人事が大きく動き続けている。
以下、宣伝。
週べ60年記念シリーズ『巨人編』が好評発売中。次回は
日本ハムの予定です。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM