
3度目の正直で勝ち投手になった黒木
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は3月24日だ。
セ・リーグに先立ち、2001年のパ・リーグは3月24日に開幕。その中で最も早く午後1時にプレーボールしたのが、
西武─
ロッテ戦(西武ドーム)だった。
試合開始から異様なまでの盛り上がりを見せる。開始3時間前には、まだ開門前にもかかわらず、球場の外の売店で「松坂対黒木」を記念するTシャツが販売され、わずか15分で予定の300枚を完売した。
2年連続開幕投手に指名され、順調な調整を見せていた西武・
松坂大輔と3年連続の開幕投手ながら過去2年は負け投手、オープン戦でもなかなか調子が上がらなかったロッテ・
黒木知宏。2人は1999年、松坂のルーキーイヤーにも好勝負を見せ、投げ負けた後に松坂が言った「リベンジします」は流行語にもなった。
初回、松坂はいきなり150キロ台を連発。三者凡退の好スタートを切ったが、対する黒木は自らの暴投もあって3失点。早くも勝負あったかに思えた。
しかし2回表、フルカウントから
初芝清へ投じたスライダーをボールと判定されてから松坂がおかしくなる。3四球に2本のタイムリーで2点を献上。勝負は分からなくなった。
その後、立ち直った黒木に対し、松坂の狂いは戻らず、結局、6回を投げ6失点。黒木は8回を投げ、初回の3失点のみで勝利投手になった。
「鳥肌が立って寒くなった」と開幕投手の重圧を明かした黒木だが、「大輔がああいう状態だったし、抑えていけばチャンスが来ると思った」と笑顔を見せた。
写真=大泉謙也