今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 『新しき情熱もやす水原』
今回は『1961年2月25日号』。定価は30円だ。巻頭グラビアは巨人・
長嶋茂雄の宮崎キャンプ風景。急行列車で東京から宮崎まで27時間かかったというなら、いまなら海外旅行くらいの感覚だろうか。
本文巻頭では『巨人軍に革命が起こった』。
川上哲治監督が宮崎キャンプで新しいトレーニングを次々導入しているという話だ。10キロのバーベルを使ったウエート・トレ、工夫されたサーキット・トレーニング、スカウトのキャンプ参加などだが、1つ、われわれマスコミには、少し嫌なことも始めた。のち“哲のカーテン”とも言われた「取材規制」である。
当時の新聞記者は、キャンプ中ならほぼどこでも取材ができたが、川上監督は、選手に話を聞くのは、お昼休みの間のみと決め、さらに選手には「自分の弱点をペラペラ記者にしゃべるな」とお達しを出した。
この号では他球団のキャンプもさまざま切り口で紹介されていたが、見出しでひかれたのは、『マンボにのったオリオンズの練習』だ。映画会社大映が親会社の大毎オリオンズである。キャンプは愛媛県松山では、なんと練習中にマンボ(ラテン系のダンスミュージック)が流れているというのだ。いまでは練習中のBGMは当たり前だが、これが日本では先駆けではないか(生前の川上氏に聞いたとき、このBGMも自分が最初という話があった。すでに巨人はしてたのか、あるいは記憶が混同していたかは、この号の週べではわからなかった)。
理由について
宇野光雄新監督は、
「スポーツっていうのは、リズムが大切なんだよ。野球でもリズムに乗ってスッスッと動いたら、こりゃ練習も楽しくできるじゃないの、そうだろう」
と言うが、おそらく永田雅一オーナーの発案だろう。
『再編するファーム・リーグ』という記事もあった。これまで二軍は名古屋以西がウエスタン・リーグを結成し、一軍の試合の前座として行われてきたが、イースタン・リーグは1955年に結成されるも1シーズン限りで消滅していた。それがいよいよ復活となり、かつウエスタンのように前座的ではなく、単独で遠征に行くということだ。地味だが、画期的なニュースではある。
以下、宣伝。
週べ60年記念シリーズ『巨人編』が好調発売中。次回、
日本ハム編も佳境です。今回は巨人編に比べ、ややくだけた企画もあります。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM