
中畑監督が率いた2015年は、前半を首位で折り返し旋風を巻き起こした。今季は息切れすることなく優勝争いに加わっていきたい
ラミレス監督が就任して過去2シーズン、
DeNAはことごとく開幕直後のスタートダッシュに失敗し、苦しいシーズン序盤を過ごしてきた。しかし、今季はちょっと様子が違う。先発3本柱を欠きながら予想外の8連勝で一時は単独首位に立った。現時点では
広島に次ぐ2位だが、好位置につけていることに変わりはない。
思い起こすのは中畑政権最後のシーズンとなった2015年だ。四番・
筒香嘉智、新人クローザーの
山崎康晃を2枚看板に開幕から旋風を巻き起こした。4月9日の
阪神戦(甲子園)で8年ぶりの単独首位に浮上。5月に入っても6連勝から一つ黒星を挟んで5連勝と好調で、貯金11をつくった。
ところが、交流戦で流れは暗転する。パ・リーグ相手にまったく歯が立たず3勝1分け14敗で交流戦史上最低勝率を更新してしまう。一時は全球団が借金を抱えるセ・リーグの大混戦に助けられ、前半戦は首位で折り返すも、後半に力尽きた。シーズンが終わってみれば、2年ぶりの最下位に沈む結果となった。
2015年は前年までの
石川雄洋から引き継ぐ形で筒香嘉智がキャプテンに就任。プロ入り6年目のシーズンとはいえ、23歳の若者はチームの進むべき道を模索し、手探り状態で主将の重責をこなしていった。筒香は以前、キャプテン1年目のシーズンを振り返り、「根拠がないまま勝ち続けていたというか、自分たちもワケが分からないまま首位に立っていた」と正直な言葉を語っていた。
梶谷隆幸は「優勝?まったく見えませんでした」とも言った。自ら先頭に立ちチームを鼓舞する
中畑清監督に乗せられて戦っていたというのが実情で、チームが途中で息切れするのは当然だった。
では、今季はどうだろうか? 主力先発投手の離脱という逆境を若手や新戦力ではねのけた。打線では従来の頼もしいクリーンアップに加えて、機動力も武器になった。過去2シーズンをAクラスで戦ったことで、優勝までの距離感も肌で感じている。少なくとも3年前よりは、勝つための「根拠」は増えているように思える。20年ぶりのリーグ優勝へ、楽しみなシーズン幕開けとなった。
文=滝川和臣 写真=BBM