今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 『地鎮祭した大毎の新球場ができなくなるというが』
今回は『1961年8月14日号』。定価は30円だ。グラビアでは対南海8連勝(前年から9連勝)で23勝目を挙げた西鉄・
稲尾和久の特集がある。南海・
蔭山和夫コーチによれば「稲尾は外に速い球、内角にシュートで、外にボールで逃げるスライダーのパターン。うちの打者はいつも最後のボール球を振ってしまう」と渋い顏。
中日の新人・
権藤博は7月30日の大洋戦で20勝目を挙げた。
巻頭は独走の巨人の四番打者・長嶋茂雄の特別手記『ビーンボールと敬遠の狭間に立って』。読むまでは、ビーンボールや敬遠に対する長嶋の怒りの告発文と思ったが、意外と淡々。むしろビーンボール、敬遠にリズムを崩されず、やっていきたいという内容だった。ビーンボールについては「どんな球が来ても、いつも落ち着いて球を見ること、あわてたりしないことで、随分球を避けるのがうまくなった」と書いている。
『地鎮祭した大毎の新球場ができなくなるというが』では、南千住で工事が開始された東京スタジアムだが、それが中止になるとのウワサが出ているという話だ。これは東京都の基準で建物に周囲に設ける必要があるという空地、また周囲の5分の1は15メートル幅の道路が接していなければいけないらしいが、その買収資金が確保できていないから、という。
また、親会社の大映は新球場資金の20億のうち10億を負担、残りを大映の株主が負担したらしいが、その資金の一部を永田雅一オーナーが社運をかけた大作映画「釈迦」に流用しているのでは、という疑惑もあったらしい。
『
佐々木信也連載対談』には大洋のヒットメーカー、
近藤和彦が登場。のち「天秤棒打法」と言われる独特のフォームについて佐々木は、
「君の例のバッティングフォームね。くにゃくにゃとやるやつ」
と言っている。命名はまだのようだ。
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では、またあした
<次回に続く>
写真=BBM