長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。 キャッチャーよりも早く

2008年、西武日本一の瞬間
いつから、どんなきっかけで思い立ったのかは分からない。ただ、僕らは口数が少なく、なかなか本音を明かしてくれない彼が、本当は足が速いことだけはこのパフォーマンスから知った。
優勝決定時、左腕投手・
石井一久のベンチからのダッシュである。例えば2001年の近鉄との日本シリーズ。通常投手に一番最初に飛び付くのはキャッチャーだが、このときは
古田敦也がヒザを故障していたこともあって、石井が断トツの速さを見せ、胴上げ投手の
高津臣吾に届いた。
石井はその後、海を渡ってメジャーに行き、
ヤクルトに戻り、最後は西武で現役生活を終えているが、写真は現役最後の胴上げ試合となる西武時代の2008年、
巨人との日本シリーズ第7戦だ。胴上げ投手の
グラマンにまたも一番乗り。捕手は一塁のカバーに回っていたようだ。ここまで徹底するのは、なんだかとてもすがすがしい。
写真=BBM