プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 “KK世代”よりも強い?
1987年、PL学園高は甲子園春夏連覇を達成。そのときの3年生は、この69年に生まれた世代だ。主将は立浪和義。チームメートには、
片岡篤史、
野村弘樹(弘。横浜)、
橋本清(
巨人ほか)らがいた。
清原和博(
西武ほか)、
桑田真澄(巨人)らの“KK世代”以上の強さとも言われたメンバーで、ドラフト1位で中日へ入団した立浪は世代の顔と言える存在。プロでも22年の長きにわたって第一線で超一流の活躍を続けた。遊撃手としてプロのキャリアをスタートさせたが、その後は二塁、三塁でもゴールデン・グラブ。3ポジションでの獲得は史上最多となるが、内野の層が厚い世代でもあることから、98年だけ守った外野に置くこととなった。
【1969年生まれのベストナイン】(1969年4月2日~70年4月1日生まれ)
投手
伊良部秀輝(
ロッテほか)
捕手
吉永幸一郎(ダイエーほか)
一塁手
タイロン・ウッズ(中日ほか)
二塁手
堀幸一(ロッテ)
三塁手 片岡篤史(
日本ハムほか)
遊撃手
久慈照嘉(
阪神ほか)
外野手 立浪和義(中日)
桧山進次郎(阪神)
田口壮(
オリックス)
指名打者
鈴木健(西武)
三塁にいる片岡は同大を経て日本ハムへ。つなぐ三番打者として98年には最高出塁率に輝いた。一塁で1度、三塁で2度のゴールデン・グラブに選ばれた内野守備の名手でもあるが、不動の一塁手として3度の本塁打王となった助っ人長距離砲のT.ウッズがいるため、定位置の三塁へ。三塁でベストナイン2度、片岡の前年にパ・リーグ最高出塁率となった鈴木健はブレーク時の指名打者に置いた。
守備に難があるウッズは指名打者にして、一塁に片岡、三塁に鈴木としたいところだが、ウッズはセ・リーグの経験しかない。内外野をこなした堀幸一はベストナインに選ばれた二塁、久慈照嘉(テル)は本職の遊撃に据えて、ウッズを名手3人がカバーするしかなさそうだ。控えには三塁、遊撃で世代屈指の堅守を誇る
進藤達哉(横浜ほか)もいる。
立浪のいる外野には、阪神を低迷期の四番打者として、そして代打の切り札として支えた桧山進次郎、俊足強肩の外野手としてメジャーでも活躍した田口壮が並ぶ。あえて桧山を代打に温存して、97年から2年連続本塁打王、98年には打点王との打撃2冠のウィルソン(日本ハム)としてもいいだろう。代打の切り札には
大道典嘉(典良)もいる。捕手に据えたのが指名打者のイメージも強い吉永幸一郎。打線に切れ目はなさそうだ。
メジャー経験者も多い投手陣

ロッテ・伊良部秀輝
通算勝利のトップは左腕の野村で101勝。セーブを合わせると、野村と98年に38年ぶりの日本一に貢献した
斎藤隆(横浜ほか)がトップだ。35歳でメジャーに挑戦し、クローザーとして日米通算100勝100セーブに到達した右腕。同様に先発と救援で実績があり、40歳でメジャーも経験した左腕の
高橋建(
広島)も同世代だ。
ただ、インパクトで圧倒するのは、やはりメジャーでも結果を残した速球派の“怪腕”伊良部秀輝だろう。先発陣では
高村祐(近鉄ほか)、
若田部健一(ダイエーほか)もいるが、
芝草宇宙(日本ハムほか)に最優秀中継ぎ投手となった
落合英二(中日)、
島田直也(横浜ほか)ら、セットアッパーも充実している。クローザーは通算セーブで圧倒するペドラザ(ダイエーほか)。投手陣にも穴はない。
投打とも重厚なラインアップ。役割分担も明確で、長期戦にも力を発揮しそうだ。
写真=BBM