これは週べ編集部の逡巡と決断をつづった超不定期連載である。たぶんに言い訳がましい内容が含まれているので興味ない方は読み飛ばしてください。 平成のラストシーズンに……
1978年10月12日、西武グループがクラウンライター・ライオンズから球団経営権を買い取り、西武ライオンズが誕生した(ちなみにクラウンライターは、いわば球団のネーミングライツの契約を結んでいただけで、球団母体は前身の太平洋クラブと変わらない)。
明日発売の『週べ』は、2008年以来の優勝に突き進む、いまの西武に加え、埼玉移転40周年ということもあり、過去の歴史も振り返る大特集を組んだ。個人的には巻頭インタビューの
山川穂高が意外と“尖っていた”のが面白かった。ぜひご一読を。
で、今週作業の来週発売号だが、企画はかなり以前から決め、あとはタイミングだけ考えていた「球場&マ
スコット大特集」である。本誌の売れ線企画2つの合体版だ。
準備が長かった分、週刊誌とは思えぬ情報量になってきたが、ページ数には限りがある。取捨選択が最大の課題になりそうだ。とはいえ、編集作業はMをチーフの特集班に委ね、個人的には、
衣笠祥雄さんの追悼号、週べ60周年企画
ロッテ編の制作に専念する1週間しようと思っている(というか、そちらの締切も迫り、するしかないのだが……)。
ただ、先週から「どうしようか……」とずっと迷っているのが、マリナーズのイチローの扱いだ。引退ならそれこそ記念号制作といきたいが、「今年はもう試合は出ないが、来年は分からない」ではテーマが絞り切れない。もちろん、節目として特集を組んでもおかしくはないのだが、この人がおとなしく、ベンチ裏でダライ・ラマになっているとは、どうしても思えないのだ。言い方は悪いが、何かたくらんでいる気がしてならない……。
もともと平成のラストシーズンでもあり、平成の主役の一人、
中日・
松坂大輔を軸にした特集は近々やってみたいと思っていた。岐路に立つ選手が多い「松坂世代」とも考えていたが、「平成名勝負特集」にして5月16日の松坂(西武時代)、イチロー(
オリックス時代)の初対決などを紹介するのも面白いかな、と思い始めている。
それにしても、さすが松坂である。先日発表された中日の観客動員は12球団最高の18パーセントアップ。これは、まぎれもなく、松坂効果だ。まだ1勝ながら、試合を壊した登板はなく、存在感ではエース格と言っていい。勝手にこちらの思い入れを重ねているだけだが、1試合1試合、いや、1球1球から松坂の生き様が伝ってくるようでもある。あと2勝くらいしたらファン投票でオールスターに選ばれる可能性も十分にあるだろう。
どちらがいい悪いではないが、兼任でコーチとも報道された
ソフトバンクに残留なら、しっかり準備をしてから一軍登板という方針だったと思うので、まだ二軍にいたかもしれない。
対して、中日は「死ぬなら一軍のマウンドで死ね!」的な起用をし、これがいまはハマっている。まあ、
森繁和監督の風貌からの妄想もあるが……。
そこでもう一つ妄想だ。
震災からの復興支援もあって、今年は熊本開催のオールスターがある。その平成最後のオールスターで松坂とイチローの対戦を見ることができないだろうか。それも、できたら始球式ではなく、実戦で。2人とも超一流のプロだ。実現が決まれば、現時点でできる最高の仕上がりで挑んでくるだろう。
マリナーズのみなさん、来季日本開催の開幕戦の盛り上がりにもつながると思います。ぜひご一考を。
文=井口英規 写真=BBM