プロ野球の歴史を彩った伝説のプレーヤーの打撃フォーム、投球フォームを連続写真とともに紹介。今回は強打を誇った近鉄のブライアントだ。 豪快なバッティング

近鉄・ブライアント
グリップは下がり気味で、ステップしながら、さらに体を縮め、軸足に力をためる。これは、それだけスイングスピードに自信があるからだ。緩い球にも対応でき、逆方向に打つ技術もあったが、基本的にはオーバースイング。ホームランへのこだわりは、打てなければ自分は日本球界で生き残っていけないというハングリーな感情からでもあったのだろう。
88年6月、
中日から近鉄へ移籍すると、わずか74試合で34本塁打と爆発、チームの優勝争いの原動力になった。翌89年10月12日には
西武戦ダブルヘッダー(西武)で4打数連続本塁打。近鉄大逆転Vを一気に加速させ、“奇跡の4連発”とも言われた。この年は49本塁打で本塁打王、MVPにも輝いた。
その後も主砲として93年に42本塁打、107打点で本塁打王、打点王の打撃2冠、翌94年には35本塁打で2年連続本塁打王を獲得した。
ホームランの飛距離でも幾多の伝説を作り、90年6月6日、設計者が絶対に当たらないと断言していた東京ドーム天井のスピーカー直撃弾が圧巻だった。
また、シーズン最多三振記録のうち歴代4位までを独占。93年の204は史上最多記録でもある。
●RALPH BRYANT(ラルフ・ブライアント)
1961年5月20日生まれ。米国ジョージア州出身。右投左打。85年にドジャースでメジャー昇格も定着ならず、88年5月に中日入団。一軍出場のないまま6月に近鉄移籍。95年限りで現役引退。[主なタイトル]MVP1回、本塁打王3回、打点王1回[通算成績]773試合、778安打、259本塁打、641打点、23盗塁、打率.261。
写真=BBM