
9回二死から本塁打で記録ならず
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は5月13日だ。
試合後、報道陣が
西武・
西口文也を囲み、ある言葉を引き出そうと必死に質問をぶつける。
「悔しかった」である。
ただ、当時パ・リーグの現役最多勝投手だった男は笑って「全然」と言い続けた。
2005年5月13日、交流戦の
巨人戦(インボイス)、先発した西口はスライダーのキレとコントロールが抜群だった。セ・リーグではお目にかかれないボールに巨人打線は完全にお手上げ。2回表、
清原和博の死球以外、まったく走者を出すことができなかった。
そして9回表の巨人の攻撃もあっさり二死。しかし、ここで
清水隆行が西口2球目のスライダーをライトスタンドに叩き込み、ノーヒットノーランも完封もパーとなった(試合は6対1で西武の勝利)。
「完ぺきに打たれたからすがすがしい。ノーヒットノーランなんかやっていいのか、という気持ちだったから」と西口。
02年8月26日の
ロッテ戦(西武ドーム)でも9回二死までいきながら記録を逃している西口は「2度も阻まれたのがタイ? 日本シリーズの5連敗もタイだし、いいんじゃないすか」。
なお、この人のあと一歩のドラマにはまだ続きがある。それはいずれまた。
写真=BBM