プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 充実している右のスターター
各チームでエースとして活躍する右腕がそろう1990年に生まれた世代。左腕が多かった79年生まれの世代と対照的だが、タイトルホルダーが並んでいる点では共通している。
ここでは2017年終了時点で通算勝利、通算防御率でトップの則本昂大をエースに据えた。13年にプロ1年目ながら開幕投手を任され、そのまま15勝を挙げて楽天の初優勝、日本一に貢献して新人王に。最多勝のタイトルこそないものの、翌14年から4年連続で最多奪三振に輝いた楽天のエースだ。
【1990年生まれのベストナイン】(1990年4月2日〜91年4月1日生まれ)
投手 則本昂大(楽天)
捕手
中村悠平(
ヤクルト)
一塁手
浅村栄斗(
西武)
二塁手
西野真弘(
オリックス)
三塁手
白崎浩之(
DeNA)
遊撃手
中島卓也(
日本ハム)
外野手
金子侑司(西武)
橋本到(
巨人)
加藤翔平(
ロッテ)
指名打者
大田泰示(日本ハム)
13年にセ・リーグの新人王となったのが
小川泰弘(ヤクルト)だ。1年目から16勝を挙げて最多勝にも輝き、ヤクルトの右腕エースへと名乗りを上げた。則本も小川も12年秋のドラフト2位での入団だったが、同年のドラフト1位で大きな期待を受けたのが
東浜巨(
ソフトバンク)で、5年目の17年に初の2ケタ勝利となる16勝を挙げて最多勝となり、リーグ優勝、日本一に貢献。黄金時代を謳歌するソフトバンクのエース候補だ。
タイトルはないが、12年のシーズン最終戦でノーヒットノーランを達成したのが
西勇輝(オリックス)。高卒1年目の09年から一軍登板を果たし、プロの経験値では群を抜く。まだ実績は届いていないが、左腕の
辛島航(楽天)、
松葉貴大(オリックス)、
チェン・グァンユウ(ロッテ)らも先発として計算すると、バランスのいいローテーションが組める。
投手分業制が完全に定着してからのプロ入りということもあってか、連覇に貢献した
一岡竜司(
広島)らセットアッパーは豊富だが、絶対的クローザーは不在。17年から先発に再挑戦している
西野勇士(ロッテ)を、ここではクローザーに戻すことになりそうだ。
打線は打点王に2人の盗塁王

西武・浅村栄斗
捕手が充実している点も79年と共通している。ここではVイヤーの15年にベストナイン捕手となった中村悠平を据えたが、プロ1年目から正捕手を担う
戸柱恭孝(DeNA)もいて、司令塔は二枚看板。ただ、バッテリーが盤石な一方で、打線は未完成だ。
タイトルホルダーは打点王の浅村栄斗と、盗塁王の中島卓也、金子侑司。近年は二塁に定着している浅村だが、打点王にゴールデン・グラブにも輝いた13年の一塁に。中島は定位置の遊撃でラインアップに並ぶ。
金子も本職の外野に据えた。2年目の16年にオリックスの正二塁手となった西野真弘が、ここでも二塁に。三塁には17年の日本シリーズで指名打者として起死回生の同点弾を放った白崎浩之、外野には橋本到と加藤翔平を置いたが、いずれも不動のレギュラーには届いていない。
一塁に外野もこなす大田泰示は、ここでは指名打者に。そのチームメートで、同様に内外野をこなす
杉谷拳士(日本ハム)や、堅実な二塁守備を誇る
高田知季(ソフトバンク)、打ちだしたら止まらない外野手の
立岡宗一郎(巨人)らもポジションをうかがう。
先発陣の好投を多彩なリリーバーがフォローして投げ勝つのを前提に、打線の成長が躍進のカギを握っている世代と言えそうだ。
写真=BBM