今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 阪神・村山実完封が物議を
今回は『1962年8月13日号』。定価は40円だ。15年ぶりの優勝に向け、セの首位の
阪神は、7月28日からの巨人戦で2勝1分と後半戦もいいスタートを切った。
ただ、その前にオールスターが24、26日で行われ、中1日での再開だったことで、さまざまな駆け引きが水面下であったようだ。
まずファン投票1位で選ばれながら、右手の腱鞘炎を理由に登板しなかった阪神・
村山実が28日の試合で完封勝利(
ソロムコのサヨナラ本塁打)。巨人・
川上哲治監督は「オールスターの価値はどうなるんです」と憤った。川上はセの監督でもあった。
一方の村山は、この件を尋ねた記者に「まだ冷たいんです。指を握ってください」と食ってかかった。確かにその指は登板後にもかかわらず、冷たかったという。
「指なんかどうなってもいい。とにかく優勝するためにいまのうちに1つでも多く勝っておこうという気持ちでした」
阪神・藤本定義監督も怒っていた。
小山正明を球宴第2戦で58球投げさせたことについてだ。
「哲のヤツ、汚いことをしよるわい。どうして第1戦に使わなかったんだ。小山は中3日あけなければ投げられないことを哲もよく知っているはずです」
29日はダブルヘッダーだったので、確かに中3日なら投げられない。
さらに、巨人が
中村稔を球宴第1戦に投げさせ、しかも打者1人2球で代えたことも怒りに火を注いだらしい。
中村は第1戦で先発し、村山と投げ合い、完投負けだった。
7月30日、南海・
鶴岡一人監督の復帰会見。8月8日の試合から指揮を執るという。
「1カ月くらい前から野球への情熱がわいてきた。そこに球団からも蔭山からも要請があって決意した」
以前の記事にあった代理監督・
蔭山和夫や選手たちの文句は、ほとんど触れられていなかった。
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では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM