いよいよ第100回の大きな節目を迎える夏の甲子園。その歴史にこそ届かないが、80年を超えるプロ野球を彩ってきた選手たちによる出身地別のドリームチームを編成してみた。優勝旗が翻るのは、どの都道府県か……? 攻守に器用な打線
天孫降臨の神話など、各地に古代の神話、史跡や芸能が残されている宮崎県。東は太平洋に面し、黒潮の影響で気候は温暖。チキン南蛮の発祥としても知られるが、それ以上に特産品のマンゴーは南国を象徴するかのようだ。それゆえ、古くからプロ野球のキャンプ地でもあり、各チームのキャンプ地を巡る観光ツアーも企画されているという。のんびりとした県民性があると言われる宮崎県の出身選手は、打順や守備位置を変えながらチームに貢献した名選手が多いのが特徴的だ。
【宮崎ドリームチーム】
一(右)
西村徳文(
ロッテ)
二(二)
福良淳一(
オリックス)
三(中)
青木宣親(
ヤクルト)★
四(左)
水谷実雄(阪急ほか)
五(遊)
田中幸雄(
日本ハム)
六(一)
小川亨(近鉄)
七(三)木村拓也(広島ほか)
八(捕)
高橋博士(日本ハムほか)
九(投)
黒木知宏(ロッテ)
(★は現役)
遊撃や外野を守りながら、すべての打順で本塁打を放ち、プロ22年目に通算2000安打に到達したのが“ミスター・ファイターズ”田中幸雄。どの打順でもいいが、95年に打点王となった勝負強さを期待して五番打者に、守備は339守備機会無失策をマークした遊撃に就く。
田中はバッテリーと二塁だけは経験がないが、その日本ハムの先輩で、74年にプロ野球で初めて1試合で全ポジションを守ったのが高橋博士(博)だ。ここでは本職の捕手として司令塔を担う。
捕手出身で、のちにユーティリティーが代名詞にもなったのがスイッチヒッターの木村拓也。ここでは他メンバーの関係で三塁に入ったが、やや極端ながら高橋と木村のバッテリーも可能だ。打順では木村と高橋が七、八番に並んでいるが、下位に歴代きってのユーティリティーがいるのは相手チームにとっては不気味だろう。
リードオフマンの“走る将軍”西村徳文もスイッチヒッターで、パ・リーグで初めて内野、外野の両方でゴールデン・グラブを受賞した名手。2010年には監督としてロッテを“史上最大の下克上”に導いたが、二番で続くのが現在のオリックス監督でもある福良淳一。堅守巧打の二塁手だが、二塁手では“ケンカ四郎”こと
武上四郎(ヤクルト)もいて、やはりヤクルトで監督を経験している。
打線の中心は2018年にメジャーから復帰した青木宣親。2度のシーズン200安打をマークして海を渡り、復帰後は通算4000打数を超えて歴代の打率トップに躍り出た屈指のヒットメーカーだ。守備は定位置の中堅に。打順は一番と三番が多いが、ここでは三番に入った。
首位打者の青木と打点王の田中に挟まる四番打者が、四番が広島で首位打者、阪急で打点王となった水谷実雄だ。一塁手で三振の少ない安定感と長打力を兼ね備えた“くのいち打法”の小川亨が六番に続く。
“不器用”な投手陣

ロッテ・黒木知宏
投手陣は現役の
寺原隼人(
ソフトバンク)や
武田翔太(ソフトバンク)、猛虎フィーバーに沸いた85年に開幕投手を務めた
池田親興(
阪神ほか)に、
入来智(ヤクルトほか)と
入来祐作(
巨人ほか)らの兄弟、古くはノーヒットノーランを達成した
清俊彦(西鉄ほか)、21世紀には
楽天でクローザーも務めた
福盛和男もいるが、器用な打線の一方で、投手陣は“不器用”な印象だ。
エースはジョニーこと“魂のエース”黒木知宏。89年の「巨人は(パ・リーグ最下位の)ロッテより弱い」との発言で日本シリーズ3連勝4連敗を呼び込んだ(?)のが
加藤哲郎(近鉄ほか)だ。
写真=BBM