
プロ12年目のベテラン。写真は別試合
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は7月13日だ。
1985年日本一イヤーの名遊撃手、
平田勝男(現
阪神一軍コーチ)。チームの若返りの方針もあって、開幕時は29歳ながら88年以降は出番が激減した。
93年は春季キャンプ中に右太ももと肩を故障。二軍スタート。まさに崖っぷちの12年目だった。
同年7月13日は、一軍に昇格した平田が、2試合目にして前年の6月25日以来のスタメンで起用された日だ。
甲子園での
中日戦に二番三塁で起用され、3回には
今中慎二のカーブをレフト線に2点適時打、7回にはパウエルの三塁線への打球を飛びついてつかむファインプレー、さらに裏の攻撃でも2安打目を放ち、盗塁も決めた。
試合は3対1で勝利。
「一軍に上がったときには連敗中だったので、雰囲気を盛り上げることだけ考えていたんです。きょうは盆と正月がいっぺんに来たみたいです」
と言っていつもの「ミッキースマイル」(愛称がミッキーだった)。
中村勝広監督は「思い切りほめてやってください。Vメンバー、まだまだ死ねないということですかね」と、こちらもニコニコ。
二塁打で出塁し、平田のヒットで一気に先制のホームを踏んだ
木戸克彦は、
「きょうは平田さんの最後のゲームになるかもしらんから頑張らんわけにはいかんやろ」
と、こちらはニヤリ。
ただ、この年の平田は最終的にトータル6安打、翌94年はヒットなしで引退となっただけに、軽いジョークのはずが、ブラックジョークになってしまったか……。
写真=BBM