第89回都市対抗野球大会は7月13日から12日間、東京ドームで行われる。前年優勝で推薦出場のNTT東日本(東京都)のほか、全国12地区の予選を勝ち抜いた32チームが出場。優勝チームが手にできる栄光の「黒獅子旗」をかけた社会人野球の祭典の注目選手を紹介していく。 チームを救った値千金の3ラン
あの感触は忘れない。永和商事ウイングとの第6代表決定戦。1回裏無死一、二塁で「三番・DH」の松本桃太郎(仙台大)はカウント1ストライクからの2球目のフォークを強振した。
「初球、外高めのストレートをファウル。振り遅れたので少し早くバットを出したら、たまたま飛んでいった」
値千金の左越え3ラン。この先制アーチで流れを引き寄せたホンダ鈴鹿が、3年連続の代表権を手にしている。
西濃運輸との第4代表決定戦で右太もも裏を痛め、JR東海との第5代表決定戦は1打席だけで途中交代。この“最終決戦”にすべてをかけ、結果を出した。
逆方向への一発は、松本の記憶では「人生で2本目」。
「(先発した)平尾(
平尾奎太、同大)も頑張っていたので、何とか1点でも多く取りたかった」
仙台大では仙台六大学リーグで最多120安打を放ち、通算18本塁打、82打点。プロ志望届を提出も指名漏れの悔しさを味わった。
「今年はチームとして勝ちたい。どんな形でも貢献していきたいです」
8月のアジア競技大会の侍ジャパン社会人代表に初選出。
「全力疾走をはじめ、社会人の模範となるプレーで結果を追い求めたい」
2度目の都市対抗を経て、アジアの舞台でも躍動する。
写真=BBM