いよいよ第100回の大きな節目を迎える夏の甲子園。その歴史にこそ届かないが、80年を超えるプロ野球を彩ってきた選手たちによる出身地別のドリームチームを編成してみた。優勝旗が翻るのは、どの都道府県か……? 夢の“岡山四天王”
倉敷市を中心に“平成30年7月豪雨”で大きな被害を受けた岡山県だが、“晴れの国”と言われるように本来は降水量が少ない土地柄。マスカットなど果物の生産が盛んで、瀬戸内海の幸にも恵まれている。
近畿地方と
広島県に挟まれ、四国とも瀬戸大橋でつながっている交通の要所。県民性はクールで、大阪などの近畿圏を見ているため隣接する広島ファンより
阪神ファンが多いというが、確かに岡山県出身のプロ野球選手には、阪神と縁がある名選手が多い。中日のエースだった星野仙一も少年時代は阪神ファンで、2003年には阪神を監督としてリーグ優勝に導いている。
【岡山ドリームチーム】
一(右)
佐々木誠(ダイエーほか)
二(遊)
川相昌弘(
巨人ほか)
三(中)
サブロー(
ロッテほか)
四(一)
大杉勝男(東映ほか)
五(二)
八木裕(阪神)
六(三)
三宅秀史(阪神)
七(左)
横溝桂(広島)
八(捕)
土井淳(大洋)
九(投)
平松政次(大洋)
星野と同じ倉敷商高の出身では
ヤクルト日本一のエース右腕だった
松岡弘もいる。この2人を通算勝利で上回るのが平松政次。プロでの優勝経験はなかったが、甲子園では岡山東商高をセンバツ優勝に導いている。
その高校の先輩で、大洋の先輩でもあるのが
秋山登で、大洋を初の日本一へと導いたエース。平松と松岡は高校時代“岡山四天王”の一角だったが、ここでは秋山と星野との“四天王”で豪華投手陣を形成する。
エースは通算200勝にも到達した平松としたが、司令塔が秋山と明大、大洋で名バッテリーを組んだ土井淳だけに、大先輩の秋山を軸に、平松らが支える布陣のほうが安定するかもしれない。
この四天王に続くのが制球力に優れた
石井茂雄(阪急ほか)。秋山と同じサブマリンでは
仁科時成(ロッテ)、平松と同じアマチュア球歴で大洋へ入団し、大洋の横浜移転後も川崎に残った(?)
奥江英幸(ロッテほか)もいる。
現役では16年に最多勝となった
野村祐輔(広島)もいて、同じく現役の
福井優也(広島)とともに貴重な(?)広島勢。これに日本シリーズに強かった
山根和夫(広島ほか)も加わる。左翼手として七番に入った横溝桂も岡山東商高ではエース左腕だった。
横溝のいる外野には、佐々木誠とサブローという好打者が加わる。打順は盗塁王2度に首位打者も経験した佐々木がリードオフマン。勝負強さと巧打を兼ね備えたサブローが三番に入った。
その間に挟まる二番が世界記録となる通算533犠打を残した川相昌弘。守備は定位置の遊撃で、阪神で史上最高とも評された強肩三塁手の三宅秀史(伸和)と三遊間を形成する。虎のレジェンドに弾かれる形で二塁へ回ったのが外野も多かった八木裕。打順では1992年に“幻のサヨナラ本塁打”もあった八木が五番に入り、三宅が六番で続く。
岡山に再び咲く“かすみ草”

東映・大杉勝男
自らを“かすみ草”にたとえ、「月に向かって」アーチを架けた大杉勝男が不動の四番。一塁の大杉と二塁が未経験の八木との一、二塁間には不安が残るが、三宅と川相の三遊間は最強クラス。外野守備にも問題はない。
得点パターンは明確だが、打者の層が厚くないのが難点だ。投手陣は左腕が不在。ただ、700試合連続フルイニング出場も残した三宅もいて、左腕の不在を埋めて余りある強力投手陣。初代セーブ王の星野をクローザーに回しても、スターターの盤石は揺るがない。
反骨の逸話を持つ選手が多いのも特徴的。逆境にこそ美しい花を咲かせそうなメンバーだ。
写真=BBM