後半戦に入り、9勝1敗と大きく勝ち越している楽天。特に打線は、昨年の前半戦で見られたような“取られても取り返す”粘りを見せている。その中でも調子が良いのはアマダーだ。左ヒザを負傷し5月13日に抹消され、一軍復帰は6月12日だったが、再昇格以降はそれ以前に比べ本塁打、打点ともに倍以上の数字を残している。
好調の要因として「キレが出てきたよね」と
栗原健太打撃コーチとまず言ったが、それ以上に意識の変化が大きかったようだ。「打撃練習でも自分からスライダーを要求したりして、試合までの準備がしっかりできている」と栗原コーチはその成長ぶりに目を細める。一軍で試合に出られなかったもどかしさと、シーズンが折り返しに入ったことで自覚が強くなってきたようだ。
ただ、爆発しているアマダーだが、打順は六番に落ち着いている。その理由は得点圏打率が悪いところにある。本塁打を量産しているが、ほぼソロホームラン。チャンスで凡退が続いているところに首脳陣は頭を抱えている。「クリーンアップは簡単に終わってほしくないからね。島内(
島内宏明)、今江(
今江年晶)、
銀次のほうが期待が持てる」と栗原コーチはその理由を説明した。
「特に(三番の)島内は2ストライクからのアプローチが素晴らしい。チームのためのバッティングができる」。もちろんそれは相手チームも分かっていることで、193センチ135キロの巨漢ながら、勝負は避けられることよりもされることのほうが多いのも悔しい部分だろう。打席での状況判断、得点圏での冷静さは今後の課題だ。
だが、たとえソロホームランでも得点に結びつくのだから、その打棒には今後も期待できる。特に楽天の外国人選手で30本塁打に到達したのは昨年の
ウィーラーのみで、今季その大台に一番近いのはアマダーだ。現在、20本塁打と昨年の本塁打数(23)超えは見えているだけに、30本塁打以上をクリアし、助っ人としての意地を見せつけてほしい。さらに、アマダーが打ち続ければ断トツ最下位から奇跡のCS進出も見えてくるかもしれない。
文=阿部ちはる 写真=湯浅芳昭