5時40分に「満員通知」

夏の甲子園で「最も面白い」とされるのが準々決勝。人気校・大阪桐蔭が第1試合ということもあり、出足はいつもよりも早かった
昨夏よりも明らかに、ファンの動きは早まっている。朝5時45分、
阪神梅田駅の様子が違った。
「ただいま甲子園球場は満員です。ご入場いただけません」
改札口の至る場所に貼り紙が貼ってあった。あまりに早い「通知」にまず、驚いた。
さらに、ホームのアナウンスでも「ただいま、甲子園球場は満員です。予めご了承ください」とのアナウンスを連呼。
「当日券」を求めてきたファンとしては、絶望的な状況である。
梅田駅を6時発、姫路駅行の直通特急に乗車したが、乗車率は80パーセントほど。「清宮フィーバー」(早実・
清宮幸太郎が1年夏)の2015年夏に比べると、人が少ない。6時13分、甲子園駅に到着。球場を取り囲む長蛇の列ができており、外野は開門していた。
すでに「満員通知」が、5時40分に出ていた。通知の段階では満員にはなっていないが、4万5000人の満員になると判断されたものだ。第1試合以外を含めて今大会9度目。8月13日(大会第9日目)が6時40分であったから、いかに“始動”が早かったかが分かる。
今夏から中央特別自由席は中央特別指定席となり、外野席も無料から有料化。例年よりも、当日券(自由席)の競争率が高まっているのである。そのほかの席は6時20分に開門。
それも、そのはず。この日は「甲子園で最も面白い」とされる準々決勝の4試合。この8チームから第100回、夏のチャンピオンが決まるのである。今夏は歴史的な猛暑が続いていたが、前日から気温が下がり、やや過ごしやすくなった。4試合をフル観戦する観衆にとっても、ありがたい気候であったはずだ。
第1試合は大阪桐蔭、第2試合は報徳学園と地元近畿勢が登場したこともあり、両ゲームとも超満員に迫る4万4000人の大観衆。試合終盤には、劣勢チームへ自然発生的に沸き起こる拍手。まさに「夏の風物詩」だ。
高校球児あこがれの甲子園球場、熱心なファン、そして全力プレーを続ける主役の選手による融合で、名勝負が生まれるのである。
文=岡本朋祐 写真=牛島寿人