今年は10月25日に行われるドラフト会議。毎年、金の卵たちが、どの球団へ進むか大きな注目を集める“一大イベント”で、さまざまなドラマも生まれる。今年で54年目を迎えるドラフト会議の歴史を週刊ベースボールONLINEでは振り返っていく。 一般ファンの観覧を実施

西武1位の菊池が仲間たちの騎馬に乗り笑顔を見せる
2009年10月29日
第45回ドラフト会議
(グランドプリンスホテル新高輪)
[1位選手]
オリックス 古川秀一(日本文理大)
横浜
筒香嘉智(横浜高)
ロッテ 荻野貴司(トヨタ自動車)
広島 今村猛 (清峰高)
西武
菊池雄星(花巻東高)
阪神 二神一人(法大)
ソフトバンク 今宮健太(明豊高)
ヤクルト 中沢雅人(トヨタ自動車)
楽天 戸村健次(立大)
中日 岡田俊哉(智弁和歌山高)
日本ハム 中村勝 (春日部共栄高)
巨人 長野久義(Honda)
この年、ドラフト会議では初となる一般ファンの観覧を実施した。抽選で選ばれた1000人が招待され、各チームの指名が発表されるたびに会場は大歓声に包まれる。
最大の注目は154キロを出した超高校級左腕・菊池雄星だった。メジャー球団も関心を寄せ、日米20球団と面談も行ったが、ドラフト会議の4日前に会見を開き、「日本の方、全員に認められてから世界に挑戦したいと思います」と国内のプロ入りを表明。大粒の涙から葛藤もうかがわれた。
会議では、予想どおり高校生投手史上最多の6球団が競合し、西武が交渉権を引き当てる。西武・
渡辺久信監督は右手を大きく突き上げ、ガッツポーズ。その後、観衆の前でのインタビューで「雄星君、すごく運命を感じています。心置きなくわが埼玉西武ライオンズに入団してください」と語り、会場が盛り上がった。西武で菊池に次ぐ活躍をしたのは6位の
岡本洋介(ヤマハ)。元巨人ほかの投手、
岡本光氏が叔父だ。
過去2回にわたり指名を拒否した長野久義は、夏の都市対抗優勝、首位打者賞を会社への置き土産にし、ようやく巨人の指名を受け、入団。巨人は長野以外はパッとせず、日本ハム、ソフトバンクにその後移籍した4位の捕手・
市川友也が目立つ程度だ。
広島は、この年のセンバツ優勝投手・今村猛を1位で、夏の優勝投手・堂林翔大(中京大中京高)を2位で獲得している(堂林は内野手)。
地味ながらロッテは成功組

筒香は希望球団の横浜に。初々しい
ほかの1位には小柄ながら高い野球センスを誇る遊撃手・今宮健太がソフトバンク、さらに横浜が相思相愛と言われた筒香嘉智を獲得。筒香は、恩師である横浜高の渡辺元智監督が「教え子の中で飛距離は一番」と語る高校通算69本塁打のホームランバッターだ。このときも「ホームランバッターとして生きてきたので、変えるつもりはありません」とホームランへのこだわりを隠さなかった。
ただ、「そのままでお願いします」と言っていた“ハマのゴジラ”のニックネームは、もはや消えてしまった。横浜は2位で
加賀繁(住友金属鹿島)、育成では
国吉佑樹(秀学館高)の名前もある。
チーム別では、ロッテが地味ながら成功ドラフトと言える。4人の指名だったが、1、2位が荻野貴司、
大谷智久のトヨタ自動車コンビ、4位・
清田育宏(NTT東日本)となっている。
荻野、大谷と同じくトヨタ自動車組の中澤雅人はヤクルトの1位。2位に
山本哲哉(三菱自動車神戸)、3位に
荒木貴裕(近大)がいる。
上位は今ひとつだった阪神は下位が成功。4位に“伊予ゴジラ”
秋山拓巳(西条高)、5位に
藤川俊介(近大。現・俊介)、6位・
原口文仁(帝京高)の名前がある。ほかの5位には中日がヒットメーカー・
大島洋平(日本生命)、日本ハムがストッパー・
増井浩俊(東芝)と社会人出の大成組が2人いた。
オリックスは全員が投手で出世頭は2位の
比嘉幹貴(日立製作所)か。
<次回に続く>
写真=BBM