攻撃力 HITTING REVIEW

日本シリーズでのバットを折りながらのサヨナラ弾(写真)など、インパクト大の活躍を見せた柳田
開幕からなかなかエンジンがかからない。特に
内川聖一、
松田宣浩ら主軸の状態の悪さが際立った。そこで頼もしさを見せたのは主砲・
柳田悠岐。3・4月から打率.353とスタートダッシュに成功した今季はシーズン通じて気を吐き続け、3年ぶりの首位打者(打率.352)と4年連続の最高出塁率(.431)のタイトルに輝いた。
8月に入り、ようやく打線が本領発揮。内川離脱後、四番に入った柳田とともにチームを押し上げたのが
グラシアルだ。故障の
デスパイネに代わって一軍昇格を果たすと、8月26日の
西武戦(ヤフオクドーム)でサヨナラ満塁本塁打を放つなど、デスパイネ不在を感じさせない活躍ぶり。また、一番に入った
牧原大成も積極的な打撃で勢いをもたらし、首位・西武をあと一歩まで追い詰めた。
ポストシーズンでは、打撃不振の松田宣をスタメンから外すなど、思い切りの良さを見せた
工藤公康監督。短期決戦ならではの、一戦一戦の勝ちにこだわった采配で、日本一をつかんだ。
投手力 PITCHING REVIEW
開幕前の
和田毅に続き、
千賀滉大、
東浜巨と、今季も先発陣が相次いで離脱。それに加え、
岩嵜翔、
サファテというリリーフの“2大巨頭”も故障で欠くという緊急事態に陥った。
総力戦を余儀なくされる中、リリーフ陣では昨季までわずか一軍4試合の登板だった
加治屋蓮が、内角を鋭く突く強気の投球とフォークを武器に、セットアッパーへと成長。昨季の岩嵜に並ぶ球団記録タイの72試合登板を果たせば、サファテに代わり抑えを任された
森唯斗は、登板を重ねるごとに信頼を高め、セーブ王(37セーブ)を獲得。日本一の胴上げ投手にもなっている。
先発陣も、前半戦は
石川柊太が勝ち頭としてチームを引っ張ると、千賀、東浜も復帰し、育成から支配下に昇格したルーキーの
大竹耕太郎や新加入助っ人・ミランダといった救世主が出現。先発ローテが固まったシーズン終盤からは、
武田翔太や石川ら先発経験者を第2先発として待機させた。積極的な継投策は、特にポストシーズンで見事にハマった。
守備力 FIELDING REVIEW
春季キャンプ前の異例のレギュラー当確発表で、残されたポジションは捕手、二塁、右翼の3つに。その中で右翼は
上林誠知がしっかりとキープ。柳田不在時は中堅も任され、全143試合に出場し、2年連続リーグトップの10補殺をマークした。
捕手では昨年を上回る111試合でスタメンマスクをかぶった
甲斐拓也が、着実に『真の要』への階段を上る。配球面に課題はあるものの、球界屈指の肩と送球技術で、盗塁阻止率は12球団トップの.447。日本シリーズでは6連続盗塁阻止と、“甲斐キャノン”を見せつけた。
二塁も球宴前から一軍昇格した牧原が好調の打撃でレギュラーをつかんだかに見えたが、試合中の負傷でシーズン終盤に無念の離脱。
明石健志や
西田哲朗らライバルが多いポジションだけに、来季も熾烈な争いが繰り広げられるだろう。
[2018年の主な達成記録]
▼サイクル安打=柳田悠岐、4月21日対
日本ハム(札幌ドーム)、プロ野球65人目、通算70度目
▼通算2000安打=内川聖一、5月9日対西武(メットライフ)、プロ野球51人目
▼NPB通算100本塁打=A.デスパイネ、5月25日対
楽天(ヤフオクドーム)、プロ野球287人目
▼通算1500投球回=
中田賢一、5月31日対
阪神(甲子園)、プロ野球177人目
▼通算100勝=中田賢一、8月26日対西武(ヤフオクドーム)、プロ野球136人目
▼チーム7試合7連続セーブ=森唯斗、9月25日対
オリックス(京セラドーム)※プロ野球新記録
▼通算150本塁打=柳田悠岐、10月5日対オリックス(京セラドーム)、プロ野球170人目
写真=BBM