攻撃力 HITTING REVIEW

全試合出場を果たした吉田正尚。四番にも定着して低調の打線の中で一人、気を吐いた
一番・
宗佑磨、二番・
山足達也で開幕を迎えるも、ともに故障で序盤に離脱。
T-岡田が故障で調整が遅れ、
マレーロ、
ロメロの両助っ人も調子が上向かず、
小谷野栄一、
中島宏之らの主力も相次いで負傷離脱した。
攻撃の形が見いだせず、打線の組み替えを余儀なくされたが、
西野真弘、
小田裕也ら、定位置を狙う面々が存在をアピールし、チーム力の底上げには成功。中でも
福田周平が巧打を見せて二番・二塁に定着されつつあった。
低調だった打線の中でプロ3年目の吉田正尚の活躍が光明だ。期待される本塁打こそ量産には至らなかったが、コンスタントに安打を放ってチャンスメークに決定打と多彩な働き。6月からは四番に定着し、自身初の全試合出場を果たして打率3割をマーク。交流戦ではMVPを獲得するなど孤軍奮闘した。
ただ、四番の吉田正を除いて、最後まで打順が固まらず。シーズンを通して“猫の目打線”となっただけに、来季は攻撃パターンを確立したいところだ。
投手力 PITCHING REVIEW
今季も
西勇輝、
金子千尋、
ディクソンを先発3本柱に据えるも、いずれも開幕から低調。初の開幕投手を任された西は、開幕戦に8回途中2失点と好投も、援護なく負け投手となると、3試合連続で勝ち星を挙げられず、金子の初勝利は先発7試合目、ディクソンは同10試合目と、スタートダッシュに失敗した。
そんな中、新助っ人・
アルバース、ドラ1の
田嶋大樹と、新戦力の両左腕が奮闘。球宴前までにアルバースが9勝、田嶋が6勝と先発陣を支えた。
低調な先発陣をカバーするように救援陣は鉄壁の布陣を形成。4月上旬に
山本由伸が救援として一軍昇格すると、好投を続けてセットアッパーに定着し、FA加入した9回・
増井浩俊へつなぎ、勝ちパターンを確立できたのは大きい。
7回は
吉田一将が担い、ほかにも
黒木優太、
近藤大亮、8月に月間18試合に登板し、日本タイ記録となった
山田修義ら、豊富なブルペン陣が奮起し、12球団トップの防御率3.69を残した。
守備力 FIELDING REVIEW
チーム失策数は63で、昨季の78から減。チーム守備率.988でリーグ2位の成績を残した。安定感が増した守備の中で、特筆すべきは捕手の
若月健矢だ。自身も課題に挙げていた盗塁阻止率が、昨季の.255から.306に向上。捕逸もわずか2に抑え、正捕手として一人立ちしつつある。
さらに遊撃の
安達了一が守備率.989でゴールデン・グラブを受賞した
西武・
源田壮亮を抑えてリーグトップを記録。6人を起用と流動的だった二塁手だが、起用者の中で最多104試合に出場した福田は、わずか4失策と、二遊間も堅実な守備を披露した。
一方で課題に残るのが中堅だ。今春キャンプに中堅にコンバートした宗が、遊撃や二塁の頭を超えた打球を二塁打にするなど、記録に見えないミスもあり、守備率.985と安定感を欠いた。ロメロやT-岡田、吉田正ら、左翼、右翼は打力重視の起用だけに、中堅の守備力向上は欠かせない。センターライン強化の余地は残されている。
[2018年の主な達成記録]
▼通算1500奪三振=金子千尋、4月10日対
楽天(京セラドーム)、プロ野球53人目
▼通算1000試合出場=T-岡田、5月6日対
ソフトバンク(ヤフオクドーム)、プロ野球490人目
▼12球団セーブ=増井浩俊、6月29日対
日本ハム(札幌ドーム)、プロ野球4人目
▼月間18試合登板=山田修義、8月31日対西武(京セラドーム)、日本タイ記録、プロ野球4人目
写真=BBM