攻撃力 HITTING REVIEW

笠原が広島から3勝を挙げるなど、セでは唯一広島に勝ち越した
リーグの打率5傑に3人がランクインするなど、打線は好調だった。特に首位打者、最多安打に輝いた
ビシエドは圧巻だった。8月にはセ・リーグ新記録となる月間47安打。タイトル獲得へ、一気に駆け上がった。
オフに減量し、キレとスピードが増した
平田良介もリーグ3位の打率.329。特に一番打者として出場した際には、先頭打者弾を皮切りにサイクルヒットを達成するなど、猛威を振るった。
新加入の
アルモンテは、勝負強さが光った。同5位の打率.321に加え、得点圏打率は.339。満塁時の打率は驚異の.667だ。
個々人は好調でチーム打率.265はリーグ2位。しかしチーム得点598はリーグ4位と、効率的ではなかった。
ほか、
高橋周平や
福田永将ら、計7人が規定打席に到達。レギュラーが固められつつあるとも思えるが、それは他選手の台頭がないことの表れでもある。
投手力 PITCHING REVIEW
新加入組の活躍が光ったシーズンだった。新外国人の
ガルシアが大車輪の活躍で、チーム3年ぶりの2ケタ勝利(13勝)。同じく
ソフトバンクから移籍加入の
松坂大輔は、チーム2位タイの6勝を挙げたばかりか、後輩投手へアドバイスを送るなど、投球以外でも貢献した。
2年目の
笠原祥太郎は“魔球”チェンジアップを駆使して、後半戦だけで6勝。侍ジャパンにも選出され、国際大会で2勝を挙げた。日本を代表する左腕への成長が期待されている。
高卒2年目の
藤嶋健人も、序盤はロングリリーフでチームを救うと、後半は先発ローテーションに食い込むなどフル回転。3勝を挙げた。来季の先発有力候補だ。
一方で、昨季5勝ずつの左右の若手は期待外れに終わった。
小笠原慎之介は、7月にプロ初完封勝利を挙げ成長を見せたが、9月に左ヒジの遊離軟骨除去手術のため離脱。先発ローテ入りを期待されていた
鈴木翔太も、右手の血行障害の影響か振るわず、11月中旬に手術した。
しかし、ベテランがその穴を埋めるように奮闘。
吉見一起が20試合に先発。勝ち星にはなかなか恵まれなかったが、「チームのために」と腕を振った。
山井大介も、40歳にして完封勝利を挙げ、一時はローテも守った。
だが、もっとも期待を裏切ったのは中堅だ。本来エースたるべき
大野雄大が未勝利に終わり、
又吉克樹、
福谷浩司、
谷元圭介ら、期待の中継ぎ陣は総崩れ。
田島慎二はセーブ失敗を繰り返し、ついに守護神の座から下ろされた。
そんな田島に代わり、9回を託されたのが
佐藤優だ。抑えの重圧を経験し、精神的に成長。チームトップの53試合に登板したルーキー・
鈴木博志も抑え志望で、来季のクローザー候補は多数だ。
黄金時代に勝利の方程式を担った
浅尾拓也、
岩瀬仁紀がユニフォームを脱いだ。2人に代わるリリーバーの台頭が待たれる。
守備力 FIELDING REVIEW
チーム失策数52はリーグ1位。一塁を守るビシエドは捕球に安定感があり、内野陣も強肩ぞろいであることも一因だろう。外野陣も盤石で、センターの
大島洋平と、ライトの平田がゴールデン・グラブ賞を受賞した。
そして特筆すべきは、
京田陽太が遊撃手として全143試合に出場したことだろう。目標としていたフルイニング出場は叶わなかったが、チーム唯一の全試合出場は立派。
今季からセカンドを守った高橋も、開幕当初は守備を不安視する声が多かったが、出場を重ねるたびに向上した。
開幕時点ではFA加入した
大野奨太と
松井雅人の正捕手争いも注目されたが、松井雅が72試合で先発マスクをかぶった(大野奨は50試合)。大野奨は昨オフに手術した右ヒジの状態が上がらなかったことも影響したか。
[2018年の主な達成記録]
▼通算1000試合出場=
藤井淳志、7月29日対
巨人(東京ドーム)、プロ野球494人目
▼通算100ホールド=又吉克樹、8月9日対広島(マツダ広島)、プロ野球30人目
▼通算1000試合出場=平田良介、9月24日対
ヤクルト(ナゴヤドーム)、プロ野球495人目
▼通算1000試合登板=岩瀬仁紀、9月28日対
阪神(ナゴヤドーム)、プロ野球初
▼サイクル安打=平田良介、8月16日対
DeNA(ナゴヤドーム)プロ野球68人、73度目
▼セ・リーグ新記録の月間47安打=ビシエド(8月中)
写真=BBM