投手力 PITCHING REVIEW

クローザーの石山は71試合登板とフル回転
先発投手の勝ち頭はブキャナンで10勝。2ケタ勝利投手はこの右腕のみだった。先発防御率4.32はセ・リーグ最下位だが、救援防御率3.84は同2位。先発が点を取られても打線が援護し、終盤の粘りで勝ちを拾う図式が浮かび上がってくる。
特筆すべきはクローザー・
石山泰稚の成績だ。キャリアハイとなる71試合に登板して3勝2敗、35セーブ、防御率2.08という数字を並べた。また、8回に定着した
近藤一樹は今季のリーグ最多、そして球団新記録の74試合登板。獅子奮迅の働きでチームに貢献し、42ホールドポイントで最優秀中継ぎのタイトルを獲得している。
ほかのセットアッパーも
風張蓮がキャリアハイの53試合に登板。大卒2年目左腕の
中尾輝は前半戦、高卒2年目右腕の
梅野雄吾は後半戦に実力を発揮した。若い力の台頭もあり、投手陣が一丸となり、チームを2位へと押し上げた。
攻撃力 HITTING REVIEW
このチームの最大の武器となったのが、切れ目のない強力打線だ。
山田哲人は打率.315、34本塁打、33盗塁で2年ぶり3度目となるトリプルスリーを達成した。シーズン中には自身初のサイクル安打。盗塁王のタイトルも手にしている。
今季、7年ぶりの古巣復帰を果たした
青木宣親の存在も大きかった。シーズンが進むにつれ、日本の投手に対してアジャスト。打率.327はチームトップの数字で、主に二番打者として打線のけん引役となった。
主砲の
バレンティンは出塁率の高い
坂口智隆、青木、山田哲の後に座り、打点を稼ぎまくった。131打点は2013年に続く自己最多タイの数字だ。38本塁打をマークしながら、一発狙いのみではない。ときには右方向への巧打も見せ、走者をホームへ迎え入れた。
さらには
雄平、
川端慎吾、
西浦直亨と、下位打線にも勝負強い打者が存在した。
守備力 FIELDING REVIEW
新たに青木が加入したことで、外野は最激戦区となった。春季キャンプ途中からは坂口が一塁守備にチャレンジし、この起用法が効果を発揮することになる。椎間板ヘルニアの手術から復帰した川端は、守備の負担を減らすために一塁起用もあったが、コンディション不良による欠場も多かった。
結局、坂口が一塁手として94試合に先発出場。これにより選手起用のバリエーションが増し、より攻撃的なオーダーを組むことに成功している。
また、試合展開次第ではバレンティン、青木をベンチに下げ、守備固めや代走として
田代将太郎や
上田剛史を起用する場面が増えた。上田は途中出場から延長サヨナラ本塁打を放つ活躍も見せている。
チームの課題の一つだった正遊撃手には、5年目の西浦直亨が定着。バットでも勝負強さを発揮する場面もあり、今後の成長にも期待できそうだ。
[2018年の主な達成記録]
▼通算150ホールドポイント=
松岡健一、5月12日
DeNA(横浜)、プロ野球11人目、球団新記録
▼通算1000試合出場=青木宣親、4月17日対
広島(呉)、プロ野球489人目
▼通算250本塁打=バレンティン、8月26日対DeNA(神宮)、プロ野球62人目
▼通算150本塁打=山田哲人、6月30日対
阪神(神宮)、プロ野球168人目
▼サイクル安打=山田哲人、7月9日対
巨人(静岡)、プロ野球66人目(71度目)
▼トリプルスリー=山田哲人、自身3度目
写真=BBM