投手力 PITCHING REVIEW

チームを背負う立場であった今永がまさかの11敗。貯金をつくれなかった
実績のある
石田健大、
今永昇太、
濱口遥大に、新人の
東克樹を加えた「左腕カルテット」がリーグを席巻するはずだった……。しかし、フタを開けてみれば、今永と濱口が開幕に間に合わず、さらに右腕の
ウィーランドも離脱。昨季、計31勝をマークした3人が早々に姿を消した。彼らは復帰後も調子が上がらずに、事前の期待を裏切った。2年連続で開幕投手に指名された石田も勝ち切れず、先発陣は崩壊寸前だった。
この危機を救ったのが、1年目の東であり、
平良拳太郎、
京山将弥など新しい戦力だった。特に東はチームトップの11勝を挙げ、孤軍奮闘の働きだった。
先発が試合をつくれないしわ寄せは、リリーフ陣に振りかかる。試合展開にかかわらずマウンドに立ち、チーム最多の70試合に登板した
砂田毅樹をはじめ、
三上朋也(65試合)、
三嶋一輝(60試合)、エスコバー(53試合)らはフル回転で、ブルペンを支えた。
そして、何より33ホールドのセットアッパーの
パットン、37セーブで初タイトルを獲得した
山崎康晃が安定していた。今季はセ・リーグの多くの球団がリリーフ投手で苦しむなか、8、9回がカチッと決まっていたことで、最後までCS争いに踏みとどまらせた。
攻撃力 HITTING REVIEW
過去2年レギュラーを務めた
桑原将志、
倉本寿彦を固定せず、調子の良い選手を起用するなどして打順を日替わりで組み替えた。その結果、打線はつながりを欠き、
ソト、
筒香嘉智、
宮崎敏郎、ロペスの4人が20本塁打を超え、リーグトップの181本塁打を誇ったにもかかわらず、得点はリーグ最下位(572点)に沈むというチグハグな攻撃が今シーズンを象徴していた。
重量級の主軸が並ぶ打線はハマれば相手にとっては驚異となる。実際に本塁打で打ち勝った試合は何試合もある。しかし、エース級と対戦では闇雲に振り回すだけでは攻略の糸口は見つからない。
巨人・
菅野智之(2勝1敗、防御率1.20)、
阪神・
メッセンジャー(6勝0敗、防御率1.06)には、いいようにやられてしまった。また、
梶谷隆幸、
神里和毅がケガで離脱したことも痛手だった。
ウィークポイントだった代打成功率は昨年の悲惨とも言える.156から、今年は.221まで改善。
中川大志、
佐野恵太らが時折、勝負強さを見せたが、物足りなさは残った。
守備力 FIELDING REVIEW
ロペスが一塁、宮崎が三塁でゴールデン・グラブに選ばれた。チームの失策数は「69」は
中日、巨人に次ぐリーグ3番目に少ない数字だが、
ラミレス監督就任後、減っていた守備のミスは、昨年より増加してしまった(失策数/16年=73→17年=66→18年=69)。
特に内外野ともに、大事な場面でのミスが目に付き、それがことごとく失点につながった。来季に向けては、あらためて「凡事徹底」を掲げて、ディフェンスを再整備する必要があるだろう。
盗塁阻止率では、シーズン途中加入の
伊藤光が成果を収めた。出場数は少ないが、阻止率.400は、セ・リーグの盗塁阻止率トップの巨人・
小林誠司の.341を上回り、シーズン終盤は「抑止力」として機能した。
[2018年の主な達成記録]
▲通算100セーブ=山崎康晃、4月10日対巨人(東京ドーム)、プロ野球29人目
▲通算150本塁打=筒香嘉智、5月24日対中日(横浜)、プロ野球166人目
▲サイクル安打=桑原将志、7月20日対阪神(横浜)、プロ野球67人目
▲通算100ホールド=三上朋也、7月25日対中日(ナゴヤドーム)、プロ野球29人目
▲通算150本塁打=ロペス、9月19日対巨人(東京ドーム)、プロ野球169人目
写真=BBM