
入寮した部屋で“自己投資”したベッドに横たわる藤原
「体が商売道具だし、一番大事になる。高校のときはケガが続いたけど、プロでは長く活躍したいので」
1月9日、
ロッテの育成を含む新入団9選手が「ロッテ浦和寮」に入寮。プロとしての第一歩をスタートさせたが、ここでも周囲の注目を一身に集めたのはドラフト1位の黄金ルーキー・
藤原恭大だった。
入寮時に“何”を持ち込むか。ルーキーたちの個性が垣間見えるちょっとした注目ポイントだが、藤原はスケールが違った。約40万円のテンピュールの電動リクライニングベッドに、約100万円だという伊藤超短波の超音波治療器。いずれも夏の甲子園、高校侍ジャパンでの活動が終わってからすぐに自ら購入。「ずっと家で使っていて、すごく良かったので持ってきました」という。
2017年の秋に右ヒザを痛め、万全の状態では走れない時期が続いた。「一番の武器は足」と公言する男にとって、苦しい時間だったに違いない。とはいえ、その翌年の6月にようやく傷が癒えるとさらなるトレーニングを重ね、「前以上の走力がついて以前より速くなった」と、転んでもタダでは起きなかったのだが。
大阪桐蔭高の西谷浩一監督からは、「ここからは自分の意識次第で変わってくる」という言葉をもらったというが、プロの世界に飛び込む前から恩師の言葉を実践する“自己投資”を行っていたということだ。
入寮した309号室はかつて
角中勝也が使っていた部屋であり、隣りの310号室には高校時代から親交のある1年先輩の
安田尚憲が住む。10日から始まる新人合同自主トレでは「アピールしていきたい」と意気込むが、野球に専念するための環境は整えられた、いや、藤原が自ら整えてみせた。高い意識、そして自己投資のリターンが得られる日は、そう遠くないはずだ。
文=杉浦多夢 写真=BBM