“競争”の2文字を強調するオリックス・西村徳文監督。今季終了後、レギュラーは何人誕生しているか
大事なシーズンになる。先発ローテを支えてきた金子弌大、
西勇輝が移籍。若手が台頭しつつある中、経験豊富な貴重なベテランであった
中島宏之が
巨人へ移籍、
小谷野栄一が引退。チームの若返りは急速に進まざる得なくなった。
現場はチャンスととらえる。昨秋キャンプで西村徳文新監督は語気を強めて言った。
「若い選手たちにチャンスを感じてほしい。『○○がいるから強い』のではなく、競争して勝った選手が残るチームになること。そうすれば、必然的にチームは強くなっていくはずです」
先発ローテは不透明。今春キャンプオープン戦で
山岡泰輔、
ディクソン、
アルバースの昨季の先発ローテ組に、先発再転向の
山本由伸、
榊原翼ら若手がイスを争う。
野手も同様だ。昨季、
宗佑磨が一番・中堅手として芽を出しつつあったが、指揮官の頭にレギュラーは「白紙」。強調するのは“競争”の2文字だった。
「ポジションを自分で奪い取ってほしい。そのために、自分には何が必要で何を磨かないといけないのかを考え、みんな秋のキャンプで練習していました。2月1日、個々がどう春のキャンプに入ってくるのか。すべては、そこからです」
だからこそ、今春キャンプでは5勤1休制をとり、チーム力の底上げを図る。さらに第2クールの2月10日の紅白戦から、計13試合の実戦を予定。昨季の9試合から実戦の場を多く設け「一軍スタートの選手も、ちんたらしていたら即ファーム」(西村監督)と、選手の競争をあおる。
チームが最後に優勝したのは1996年。Aクラスに至っても、2014年から5年間、遠ざかり、当時の主力メンバーもT−岡田、
安達了一ら数えるほど。ここ数年で選手が大きく入れ替わり、“生え抜き”を主体に、生まれ変わろうとしているチームにとって、今季は大きな意味を持つ1年になる。
今季終了後、レギュラーと言える選手が何人現れているか――。むろん、チーム成績も重要だが、この答えが、オリックスが生まれ変われたかどうかの答えと一致する。
文=鶴田成秀 写真=BBM