背番号は、ある選手が引退しても、またある選手に受け継がれていく。2019年も新たな後継者が誕生した。その歴史を週刊ベースボールONLINEで振り返っていく。 4球団で空席に
永久欠番はないが、2019年は欠番が目立つ「7」。
西武での若手時代から日本球界に復帰した
楽天で「32」を経て、そして18年に移籍した古巣の西武で「7」を背負った
松井稼頭央が引退したことで、西武で空席に。ベテランの
山崎武司から継承した松井の移籍から空席だった楽天ではドラフト1位の辰巳涼介が後継者となり、ベテランがリレーしていた楽天の「7」に新風を吹きこんだ。もともと「7」は攻守走に万能な一流選手の象徴といえる背番号。辰巳も攻守走に抜群のポテンシャルを誇り、その活躍によっては、楽天も全体の系譜に合流していくことになりそうだ。
さらに、中日ドラフト1位の根尾昂も「7」を背負うことに。「この番号に負けない選手になりたい」と意気込むが、攻守走の三拍子そろった最注目新人はチームを変える男として注目されている。
また、19年に入って、
巨人で「7」の
長野久義がFAの人的補償で
広島へ移籍して「5」となったことで、やはり空席に。一方、FAで
糸井嘉男が抜けた
オリックス、
田中浩康が抜けた
ヤクルトでは空席が続く。田中は18年オフに
DeNAで引退したが、糸井は
阪神でも「7」の主力として活躍を続けている。
【12球団・主な歴代「7」】
巨人
与那嶺要、
柴田勲、
吉村禎章、
二岡智宏、長野久義
阪神
金田正泰、
並木輝男、
真弓明信、
今岡誠、糸井嘉男☆
中日
森井茂、
森徹、
宇野勝、
森野将彦、根尾昂☆(2019年~)
オリックス
川合幸三、
衆樹資宏、
福本豊、
進藤達哉、糸井嘉男
ソフトバンク 岡村俊昭、
島原輝夫、
藤原満、
井口忠仁(資仁)、
中村晃☆
日本ハム 西園寺昭夫、
白仁天、
岡持和彦、
中島輝士、
西川遥輝☆
ロッテ 矢頭高雄、
アルトマン、
レオン・リー、
西岡剛(TSUYOSHI)、
鈴木大地☆
DeNA
長田幸雄、
長崎慶一(啓二)、
カルロス・ポンセ、
鈴木尚典、
石川雄洋☆
西武
豊田泰光、
石毛宏典、松井稼頭央、
片岡易之(治大)、松井稼頭央
広島
岩本章、
山本一義、
佐野嘉幸、
野村謙二郎、
堂林翔太☆
ヤクルト
中村栄、
町田行彦、豊田泰光、
福富邦夫、田中浩康
楽天 山崎武司、松井稼頭央、辰巳涼介☆(2019年~)
(☆は2019年)
光る世界の盗塁王

阪急・福本豊
「7」の系譜で圧倒的なのが韋駄天のリードオフマン。阪急で通算1065盗塁を積み上げた福本豊が筆頭格だ。1972年に「7」へ変更すると、シーズン106盗塁で世界記録を更新。のちに通算盗塁でも世界新記録を樹立した。福本と同じく盗塁王の常連で、福本よりも先に「7」を着けたのが“赤い手袋”で巨人V9を引っ張った柴田勲。ともに韋駄天という枠ではくくれない名選手たちだ。
全体的にも単なる“走り屋”より攻守走にハイレベルな万能タイプの“技術屋”が多い。果敢な走塁で日本球界に革命をもたらした巨人の与那嶺要が好例で、3度の首位打者に輝いた巧打者でもあった。ロッテ時代の西岡剛やオリックス時代の糸井も、盗塁王だけでなく首位打者も獲得している万能選手。古くは南海の岡村俊昭や阪神の金田正泰、西鉄黄金時代の豊田泰光ら、近年では横浜の鈴木尚典や阪神の今岡誠らも首位打者の経験者だ。故障もあってタイトルはなかったが、巨人の吉村禎章も天才と評された好打者だった。
ソフトバンクで現役の中村晃はリードオフマンとしてブレークした巧打の万能タイプだが、85年“猛虎フィーバー”の真弓明信や西武黄金時代の石毛宏典は長打力を兼ね備えたリードオフマン。中日の宇野勝など長距離砲も多く、盗塁王の経験者でもあるダイエー時代の井口資仁も長距離砲タイプと言える。
写真=BBM