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背番号物語2019

【背番号物語2019】「#10」左の好打者たちのナンバーは3チームで永久欠番

 

背番号は、ある選手が引退しても、またある選手に受け継がれていく。2019年も新たな後継者が誕生した。その歴史を週刊ベースボールONLINEで振り返っていく。

3チームで「10」を貫いた張本



 すべての背番号において、最多となる3チームで永久欠番となっているのが「10」だ。最初に制定されたのが1958年の阪神で、“初代ミスター・タイガース”藤村富美男が引退したとき。藤村は阪神の創設期から投打に活躍した豪傑で、阪神で「10」を着けたのは藤村だけ。1つの背番号が1選手だけでチームの永久欠番となっているのも唯一で、球史においても、その存在感はオンリーワンだ。

 続いては、その58年限りで中日を現役引退し、晩年はコーチや助監督も兼任していた服部受弘。戦前は捕手として、戦後は投手として活躍したレジェンドで、代打で満塁本塁打を放った後に救援のマウンドに立ち勝利投手になったこともある。制定は60年だった。

 最後は21世紀に誕生した楽天。「(ナインに続く)10番目の選手」という意味で、ファンの背番号として永久欠番としたものだ。

 永久欠番とはなっていないが、3チームで「10」を背負い続けたのが張本勲だ。23年で積み重ねた通算3085安打はプロ野球記録。東映時代の70年にマークした打率.383も、86年に阪神のバースが更新するまでプロ野球記録だった。そして、通算成績で打率3割、300本塁打、300盗塁の“トリプルスリー”を達成しているのは張本が唯一。バットで数多くの記録を残した張本だが、「10」を着けた23年も最長記録だ。

【12球団・主な歴代「10」】
巨人 宇野光雄堀内庄、張本勲、駒田徳広阿部慎之助

阪神 藤村富美男★

中日 岩田次男鈴木秀雄、服部受弘★

オリックス 中田昌宏加藤秀司(英司)、谷佳知大引啓次大城滉二

ソフトバンク 江藤正島野育夫本間満李大浩大竹耕太郎☆(2018年シーズン途中〜)

日本ハム 張本勲、永淵洋三井上弘昭木元邦之清水優心

ロッテ 浅井守、張本勲、古川慎一大松尚逸加藤翔平

DeNA 森雅功、福島久(福嶋久晃)、駒田徳広、佐伯貴弘戸柱恭孝

西武 田辺義三、スティーブ、高木大成佐藤友亮森友哉

広島  樋笠一夫興津達雄(立雄)、道原博幸(裕幸)、金本知憲岩本貴裕

ヤクルト 土屋正孝山下慶徳荒井幸雄城石憲之荒木貴裕

楽天 楽天ファン★
(☆は2019年、★は永久欠番)

左の強打者でもある捕手の姿も


巨人・阿部慎之助


 ほかにも「10」には左の好打者が多い。阪急黄金時代に活躍した加藤秀司(英司)、巨人と横浜で「10」を背負った“満塁男”駒田徳広、広島で「10」を着けていた金本知憲らも通算2000安打を達成した左打者。2017年には巨人の阿部慎之助も名球会の仲間入りを果たしている。右打者ながらオリックスで「10」だった谷佳知は2000安打には惜しくも届かず、15年限りで引退した。

 阿部は長く巨人の正捕手だったが、捕手が多いのも「10」の特徴だ。西武では高木大成も入団時は捕手、現役の森友哉も捕手で、ともに左打者。DeNAも捕手が多く、現役の戸柱恭孝も左打者だ。日本ハムで現役の清水優心は右打ちの捕手。張本が足跡を残した東映の後継者だが、そこには張本の面影がなく、むしろ他の系譜に連なる印象が強いのは、路線変更が多い日本ハムらしい。

 一方、18年シーズン途中にソフトバンクで育成から支配下となった左腕の大竹耕太郎が新たに系譜へ加わっている。

写真=BBM
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