
ロッテは選手会長である鈴木の手締めで早々と春季キャンプを打ち上げた
2月14日の沖縄・北谷。
中日が一軍キャンプを張るこの地でロッテは中日との練習試合を行い、7対6で勝利。一番・中堅で先発したドライチの
藤原恭大が“プロ初安打”をはじえめ3安打2打点、遊撃のレギュラーを狙う
平沢大河も一発を含む2安打と、若き攻撃陣に見どころの多いゲームとなった。
だが、なぜこの時期に、例年は石垣島で春季キャンプを行っているロッテの本隊がいるのか。それは11日に早々と春季キャンプを打ち上げ、沖縄本島→高知→宮崎と続いていく練習試合行脚に出ているからだ。
オフの6日を除いた10日間という異例の短期日程となった春季キャンプ自体も、独特の色合いだった。
井口資仁監督の宣言どおり、キャンプ初日に紅白戦を行い、4、5、7にはシート打撃、そして9、10日は台湾・ラミゴとの交流戦。10日間のうち6日間で実戦もしくは実戦形式が与まれる“超・実戦主義”というべきキャンプだったのだ。
指揮官が事前に実戦重視の姿勢を打ち出すことで、選手たちにはきっちりと体を仕上げてキャンプインすることが求められた。初日の紅白戦で先発した
涌井秀章、
石川歩の先発の両輪も例外ではなく、井口監督はキャンプを総括する中で「(キャンプの)MVPは涌井と石川、しっかり体を作ってきてくれたことで、投手陣が締まった」と称えていた。
実戦の場はアピールの場でもある。特にレギュラー奪取に燃える若手にとってはなおさらなだ。その中で、
藤岡裕大が故障で出遅れた遊撃の座を狙う4年目の平沢大河、新加入の
レアード&チームリーダーの
鈴木大地と三塁争いを繰り広げる
安田尚憲は目の色を変えて臨み、一定の結果を残した。
指揮官は「初日の紅白戦から競争の中でチームは底上げされた。全体的にやりたいことができたし、大河も安田もしっかりとやっていた。100点に近い」と、キャンプの狙いが的中したことに笑みを浮かべていた。
ラミゴとの2戦を含め2月だけで14試合を戦う練習試合行脚。一方で石垣島には涌井、石川、
角中勝也、鈴木大地、レアードといった主力クラスが残留し、キャンプを継続しながら汗を流している。徐々に彼らが合流しながらオープン戦へと突入していく実戦=競争の毎日。「あとはどう成果を出すか」という指揮官の真の狙いが試されていく。
文=杉浦多夢 写真=高塩隆