背番号は、ある選手が引退しても、またある選手に受け継がれていく。2019年も新たな後継者が誕生した。その歴史を週刊ベースボールONLINEで振り返っていく。 エースナンバーへの飛躍
投打ともに多くの名選手が「46」から巣立ち、ほかの背番号で活躍を続けた。投手では、のちにエースナンバー「18」で活躍を続けた右腕が両リーグにいる。
パ・リーグには
ロッテに
成田文男。ノーヒットノーランや初の最多勝は「46」の時代だ。セ・リーグには
DeNAで「18」の印象が強い三浦大輔。ドラフト6位という下位指名から着実に登板機会を増やし、「46」で初の2ケタ勝利を挙げてエースナンバーに変更、38年ぶりの優勝、日本一に貢献した。DeNAの系譜には、独特の“こけしバット”で暗黒期の四番打者を務めた
山崎賢一の下積み時代、さらにさかのぼると
巨人の
王貞治と対戦50打数で被本塁打ゼロという“最強の王キラー”
平岡一郎もいる。
逆に、「46」で再起を期す投手が左腕の
成瀬善久だ。2018年オフに
ヤクルトを戦力外となり、迎えた19年、新天地の
オリックスで「46」に。かつて若者たちがチャンスをつかんだ背番号で、ベテランが復活に懸ける。
【12球団・主な歴代「46」】
巨人
高橋一三、
松原明夫、
野口茂樹、
一岡竜司、
大城卓三☆
阪神 岡田功、
大島忠一、
横谷総一、
鶴直人、
秋山拓巳☆
中日 竹田和史、
川又米利、
平沼定晴、
古池拓一、
鈴木博志☆
オリックス
松並和視、
清原雄一、
迎祐一郎、
川端崇義、成瀬善久☆(2019年~)
ソフトバンク 長光告直、
国貞泰汎、
岡本圭右、
坊西浩嗣、
本多雄一 日本ハム 鍋島鉱次郎、
大室勝美、
森本稀哲、
植村祐介、
田中瑛斗☆
ロッテ 成田文男、
倉持明、
安木祥二、
グライシンガー、
岩下大輝☆
DeNA
波山次郎、平岡一郎、山崎賢一、三浦大輔、
田中健二朗☆
西武 春日一平、
野田浩輔、G.G.佐藤、
中崎雄太、
鈴木将平☆
広島 藤本和宏、
植田幸弘、
東出輝裕、
大島崇行、
高橋樹也☆
ヤクルト
田所善治郎、
栗山英樹、
飯原誉士、
谷内亮太、
太田賢吾☆(2019年~)
楽天 高橋浩司、
鉄平、
ファンミル、
伊東亮大、
濱矢廣大☆
(☆は2019年)
個性あふれる好打者

楽天・鉄平
打者では、広島にドラフト1位で入団して1年目だけ着けて、長く「2」として低迷するチームを支え続けた東出輝裕がいる。入れ替わるように「46」となったのが日本ハム2年目の森本稀哲で、続いて近鉄の
北川博敏が「46」となって1年目の01年に史上唯一の代打逆転サヨナラ満塁“優勝決定”本塁打を放って強烈な印象を残した。
同時期にいたのが米マイナーから西武へ入団したG.G.佐藤。古くは闘志あふれるプレーで“ゴリ”と呼ばれた南海の国貞泰汎がいて、その後継者はソフトバンク1年目から背負い続けた韋駄天の本多雄一だが、18年限りで引退、迎えた19年のソフトバンクでは空席だ。ちなみに、日本ハム監督の栗山英樹もヤクルトでの現役時代に「46」でブレークしている。
2チームで一貫して「46」だった貴重な存在が鉄平(土谷鉄平)。中日では芽が出ず、楽天でも「46」を着けると移籍1年目にブレーク、09年には首位打者に輝いた「46」の出世頭だ。
ただ、その鉄平もオリックスへ移籍して「0」となっており、「46」を完全なるトレードマークとした名選手は、まだ現れていないと言える。その候補の筆頭は阪神で現役の秋山拓巳だろうか。2017年に初の2ケタ12勝を挙げて遅咲きの花を咲かせた右腕。18年は5勝に終わったが、「46」を輝かせる以上に、猛虎の復活という重責を背負う。
写真=BBM