
北別府氏[左]はマウンドを降りて王監督をガッチリ握手した
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1995年3月12日だ。
あわやホームランかというものすごい打球がライトに飛んだ。マウンドの投手の表情は一気に約20年前のそれに戻った。顔面蒼白――。しかし、その投手・
北別府学は、すぐにルーキー解説者・北別府学氏に戻った。苦笑いと、打った人・
王貞治への感謝の気持ちがそこに広がった。
95年3月12日の
広島市民球場。この日の広島対ダイエーのオープン戦前、粋なセレモニーが企画された。前年限りで広島を引退した北別府氏が始球式のマウンドに立ち、ダイエー・王監督が打席に立つ、というものだ。
これには、王監督からうれしいクレーム? がついた。どうせなら1球を空振りするという儀式的なものでなく、1打席の真剣勝負でいこう、というものだった。
北別府氏は王監督と76年から80年まで5シーズンにわたって対決したが、王監督が世界記録の756号本塁打を放った77年には打たれた3安打がすべてホームラン。北別府氏が17勝を挙げて広島のエースにのし上がった79年には20打数10安打されるなど、全体的には“世界の王”の貫録勝ちというところだった。
スタンドからは「2人とも現役に戻らんかいのう」の声も上がるほどだったが、この日は北別府氏の解説初仕事。この始球式は、何よりの励みとなった。
写真=BBM