
ダイエーファン一色で埋まったスタンドは試合前から大フィーバーだった
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1993年4月17日だ。
3発の花火が打ち上げられた後、開閉式の屋根がゆっくりと開かれていく。木漏れ日のような光が射し、青い空が広がっていく。暗闇から光の世界への変化は、4万8000人の大観衆をみるみるうちに幻想の世界へと導いていった。
この日、初の公式戦(対近鉄)に先立って行われた日本初の開閉式ドーム球場、福岡ドームのオープニングセレモニー。「福岡ドーム劇場」の歴史的幕開きであった。
博多っ子が誇る新本拠地・福岡ドームでの初公式戦。右翼スタンドでは、早くも「Daiei」の文字が入った応援旗が揺れる。風船が舞う。絶妙の演出もあって、博多っ子のボルテージは試合前からヒートアップした。
記念すべき第1戦。ダイエーは必勝を期して、エースの
村田勝喜をマウンドに送った。是が非でも勝ちたいメモリアルゲーム。しかし、そんなダイエーナインの前に立ちはだかったのが
野茂英雄だった。
7回までノーヒットに抑え込まれ、8回、代打・
小川史の左前打で不名誉な記録を逃れるのが精いっぱい。野茂と互角の投手戦を演じていた村田も9回に力尽き、0対1で惜しくも敗れた。
屈辱の完封負けを喫して
根本陸夫監督は「地元ではいつも勝とうと思っているよ。でも、100パーセントの力を出して、その結果、負けたんだから」とナインを労った。
写真=BBM