
開幕一軍入りは果たせなかったが、4月中に一軍昇格を果たした齋藤。登録抹消となったが、自分の納得のいく投球フォームを作り上げ、もう一度一軍に帰ってくるつもりだ
先日の
DeNA戦(横浜)で今季初勝利を挙げた
阪神の
才木浩人投手は、二軍で調整中の
藤川球児投手のアドバイスを受けて復調した。現在二軍で先発投手として3勝を挙げている
望月惇志投手も、自主トレで藤川投手のキャッチボールのボールを受け、衝撃の体験をし、望月投手の投球に生かされている。そんな藤川投手の影響を受けている投手がもう一人いる。
4月19日の
巨人戦(甲子園)で一軍デビューを果たした
齋藤友貴哉投手だ。今年のドラフト4位で入団し、即戦力の中継ぎ投手と思われていたが、開幕一軍入りはできなかった。二軍でもう一度、自分の投球フォームを見直しているときに、藤川が再調整で二軍に合流。そのときに藤川投手のキャッチボールを横で見て感じたことが多かったという。
「軽く足を上げ、スーッと軽く腕を振りながら、最後リリースのときに右腕がムチのようにしなり、指先でピチッとボールを離すんです。するとグングンとボールが伸びていく。初めて伸びのあるキャッチボールを見ました。あんな感じで投げたいな、と。投球フォームを見直していたときでしたので、参考にさせてもらいました」
藤川投手の近くでキャッチボールを観察し、盗める部分を探した。いかに軽く足を上げられるか。ボールをリリースする瞬間、いかに中指、人さし指にいかにスピンをかけることができるのかを考えながらキャッチボールに取り組んだ。それができ始めると、春季キャンプ時の自分の投球フォームが、どれほど力任せで投げていたか、にも気付かされた。
新たに強弱をつける投球フォームへと移行していっている中での一軍昇格。初登板が巨人戦ということもあり2回を1安打3四球と荒れたが何とか無失点に抑えた。しかし残念ながら4月26日に登録抹消となってしまった。だがこれで終わりではない。二軍でいま一度、自分の投球フォームと向き合い、納得のいく投球フォームを手に入れ一軍に帰ってくるはずだ。
文=椎屋博幸 写真=BBM