打者が差し込まれる真っすぐが武器

25日の阪神戦で2勝目を挙げた。あとは最後の詰め
DeNAの背番号27、伝説のエース、
平松政次さんの背番号を受け継いだ男が、いよいよ本領を発揮してきた。
東洋大からドラフト1位で入った
上茶谷大河だ。
実は、春季キャンプで彼を見て、これは勝てる投手だなと思い、「1年目から10勝はできるでしょう!」とテレビでも太鼓判を押していた。
でも、最初は好投をしていたが、打線の援護なく勝ち星に恵まれず、徐々に思い切りのよさまで影を潜めた。結果をほしがると投手はそうなりやすいんだが、俺としても「やばいな。テレビで断言しちゃったのに」と少し焦っていた。
選手もそうだけど、解説者も結果勝負だからね。
それがようやく調子を上げ、俺が試合の解説を担当した5月25日の阪神戦(横浜)ではいいピッチングを見せた。
ストレートもカットボールもキレていたし、低めにしっかり制球されていた。8回まで完封ペースできながら9回に打ち込まれたのは、まだ試合の締め方が甘いから。次の課題だね。
彼のピッチングフォームの特徴は、トップのときのヒジの位置が低いこと。それで低いまま体を開かず我慢して体を前に持ってきて、ヒジの位置も並行移動というのか、そのままの高さで前に持っていき、最後に強く柔らかく振ってリリースする。下半身の使い方もいい。
バッターからすれば「ここ!」と思ったタイミングから少しずれ、阪神のバッターがそうだったがボール1個分、差し込まれる。スピードガンより打者の体感は5キロ増しくらいじゃないかな。
ヒジが低いと肩を痛める危険はあるが、俺が見ている中では“ギリギリセーフ”だ。
ただ、今後、疲労がたまってきたら、自分のイメージより下がってしまうこともあるかもしれない。そこは自分ではなかなかわからないから、コーチが、しっかりチェックしてほしい。このチームは投手が2年続かない傾向があるが、このあたりで払拭しないと。
いずれにしてもだ。上茶谷、何とか10勝して俺の見方が正しかったことを証明してくれ。俺も1年間、君の名前を解説でかまないように、さらに言えば、カミジャダニと言わないように頑張るから。よろしく!
写真=BBM