
「甲子園で(ノーヒットノーランを)やれて良かったです」と喜びの表情を見せた湯舟
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1992年6月14日だ。
この日、甲子園で行われた
広島戦、
阪神の先発は前年のドラフト1位左腕・
湯舟敏郎だった。初回から多彩な変化球が冴え渡り、カープ打線を封じ込める。8回まで毎回の11奪三振。ヒットも打たれず、得点も与えない。
迎えた9回、最後の打者、
正田耕三の二遊間を抜けようかという当たりを二塁手・
和田豊が好捕し、一塁でアウト。その瞬間、セ・リーグとしては87年の
近藤真一(
中日)以来、阪神の投手としては73年の
江夏豊以来7人目のノーヒットノーランを達成(史上58人目)。9回に三振を奪えず、史上初の毎回三振奪取での大記録を逸したのは惜しかった。
「(記録は)4回を終わって一度意識しましたけど、9回二死を取ってからプレッシャーを感じました。一人ひとり、確実に打ち取っていこうと投げたのが良かったんじゃないですか。でも、僕みたいな者がプロ野球の歴史に名を残していいんでしょうか」と湯舟は謙虚に語った。
写真=BBM