
高校野球応援では「倒せ!!」というフレーズは禁じられているが、大学球界では容認されている(写真は本文とは関係ありません)
プロ野球ではチャンステーマの応援をめぐって、現場と応援団によるやり取りがあり、ネット上でも多くの意見が出回っている。
さて、高校野球界はどうなのか?
記憶する限り、1990年代前半に大きな変更があった。ベンチ入りメンバーではなく、万年補欠であったので、よく覚えている。
「(相手校)倒せ!!(自校)オ!!」
最もボルテージが上がる、この部分、が大きく変更となった。
「今こそチャンス!!(自校)オ!!」
相手チームをリスペクトし、自チームだけを鼓舞するスタイルへと、シフトチェンジされたのである。当初はやや、物足りなさがあったのは事実だが、やはり、相手があっての野球。「思いやりの心」は大事だと思った。大会を主催する連盟サイドとしては教育的な配慮があったのかもしれない。
しかし、これは高校野球に限った話であり、大学進学すると、「(相手校)倒せ!!(自校)オ!!」が、普通に使われていた。同リーグにおける他校も「倒せ!!」というフレーズは現在も何の違和感もなく叫んでいる。
この件について、問題を聞いたことはない。
なぜ、高校がダメで、大学は許される理由は不明だが、これはあくまで妄想。リーグ戦は春、秋と戦う「定期戦」であり、ライバルであり仲間意識が強い。この関係性が「倒せ!!」にも憎しみではなく、あくまで応援という考えが浸透しているのだと思う。
野球にとって応援は運命共同体。ファンが楽しむ環境だけは奪ってほしくないと思う。
文=岡本朋祐 写真=BBM