
オールスター第2戦でまさかのホームスチールを見せたSHINJO
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は2004年7月11日だ。
ナゴヤドームから長野オリンピックスタジアムに舞台を移したオールスター第2戦。主役を張ったのはメジャーから復帰後初球宴、全パの「一番・中堅」でスタメン出場したSHINJO(
新庄剛志、
日本ハム)だった。
まずは1回裏の第1打席、全セ・
福原忍(
阪神)に対し、左中間を指差しての「予告ホームラン」からいきなりの初球セーフティバント。これは失敗に終わったが、見せ場は3回裏だ。福原から左中間への二塁打を放つと、
村松有人(
オリックス)の一ゴロの間に三塁へ。そして、四番・
小笠原道大(日本ハム)の打席での6球目、捕手・
矢野輝弘(阪神)が福原へ返球したスキを突き、豪快なヘッドスライディングで本塁を陥れた。
球宴史上初の単独本盗。5回の第3打席にも
工藤公康(
巨人)の低めのカーブをたたき左翼線二塁打、続く代打・
谷佳知(オリックス)の右前打で2点目のホームを踏んだ。
球界再編で揺れる中で行われたオールスターだった。「(本盗などは)パ・リーグじゃなかったらやっていない。明るくしたいし、こういう選手がたくさん出てメディアに取り上げられれば、ファンも球場に行きたい気持ちになる」とMVPのSHINJO。超満員の観衆を魅了した男は、“ファンのためのプロ野球”であることを身をもって示した。
写真=BBM