7月13日から13日間、東京ドームで行われる第90回都市対抗野球大会。全国12地区の予選を勝ち抜いた36チームが出場する栄光の「黒獅子旗」をかけた社会人野球の祭典です。週刊ベースボールONLINEでは、都市対抗野球大会にまつわるさまざまな情報や知られざる秘話を『JABA公式サポーター』が日替わりで発信していきます。本日は田中優美さんです。 チームに誓う恩返し

瀬川隼郎投手兼コーチ(日本製鉄室蘭シャークス)
2018年にクラブチームから企業チームへ変更となった日本製鉄室蘭シャークス。一昨年までクラブチームだったとはいえ、元プロの選手が3人もおり、19年の都市対抗に出場する実力を持っています。そのうちの2人、瀬川隼郎投手兼コーチ(元
日本ハム)と
佐藤峻一投手(元
オリックス)にお話をうかがうと、企業チームになったとはいえ、クラブチームのときとの差はあまりないと言います。
仕事は9時ごろから17時ごろまで行い、18時半から21時ごろまで全体練習。さらに、その後に個人練習があり、遅いときは23時ごろまで自主練習を行うハードスケジュール。翌日も9時から仕事を行うため、帰ったらすぐ寝てしまう毎日。各選手、分かれて日本製鉄のグループ会社や部署にて従業しており、瀬川投手兼コーチは比嘉泰裕監督と同じ会社に属して現場仕事、佐藤投手は総務部で働いているそうです。
そんな過酷な環境下でも“野球ができる喜び”を瀬川投手兼コーチ、佐藤投手ともそろえて口にしました。瀬川投手兼コーチは17年限りで日本ハムを戦力外となりましたが、まだ野球を続けたいという気持ちから「再びチームに入れてほしい」と自ら古巣に頼んだそうで「その分、感謝の気持ちとチームに対する気持ちが強いので、恩を返していきたいです」と言います。

佐藤峻一投手(日本製鉄室蘭シャークス)
17年からチームの一員となった佐藤投手は「プロでは殻を破れなくて、なかなか活躍できなかったけど、それでもまたこうやって野球ができて、今は野球をできる喜びを感じられています。自分らしく投げていいと思うようになって、楽しく野球ができるようになりました。プロのときにはそういうふうに思えていなかったので、社会人野球に転向してからの変化です」と話していました。
7月17日に行われた都市対抗野球大会の初戦では、予選のチーム打率.354を誇る日立製作所の強力打線を投手陣が9回2失点に抑える好投。試合は0対2で敗れてしまったものの、試合後の瀬川投手兼コーチは「今日は収穫しかないです。先発の岩崎(巧)投手も予選ではここまでの投球はしてなかったのでうれしい誤算でした。これからチームの柱になってほしいです。僕もコーチとして今までやってきたことが間違っていなかったのだと自信になりました」と胸を張りました。
練習時間の短さやハードなスケジュールなど困難を乗り越えて都市対抗野球大会の切符を手にし、貴重な体験をした日本製鉄室蘭シャークスは今後ますます飛躍していくと確信しています。
公式サポーター日本野球連盟YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UC26D0n0-QuxyIghG0WqbN0A
PROFILE

左から豊島わかなさん、田中優美さん、若菜奈津美さん/写真=BBM
とよしま・わかな●1986年12月14日生まれ。愛知県出身。ニックネームは「豊ちゃん、わかちゃん」。趣味は昼寝、特技は書道。
たなか・ゆみ●1992年5月21日生まれ。神奈川県出身。ニックネームは「ゆーみん」。趣味は動物とたわむれる、特技は脚が柔らかいこと。
わかな・なつみ●1990年10月24日生まれ。神奈川県出身。ニックネームは「なっちゃん」。趣味も特技もダンス。