ファン一人ひとりの胸に宿る甲子園のヒーロー。第100回の大きな節目となった夏の甲子園を前にNPB100人に「甲子園のヒーローは?」とアンケートを実施して「B.B.MOOK1414 ファンが選ぶ名勝負ランキングベスト100」に掲載したのをここに公開。迎えた第101回、新たなるヒーローは誕生しただろうか? 西武の今井が動画を見まくった桑田
4票で4位に並んだのは3人。投手に票が集まる傾向があるとはいえ、この3人、いずれも優勝投手だ。この点は、他のヒーローたちとは大いに異なる点といえるだろう。
【NPB100人が選んだ甲子園のヒーロー】
・4位タイ(4票)
★
桑田真澄(PL学園・投手。のち
巨人ほか)
★
堂林翔太(中京大中京・投手。
広島)
★
島袋洋奨(興南・投手。
ソフトバンク)
(出場校とポジション。プロ球歴)
PL学園・桑田真澄
1983年の夏に1年生エースとしてPL学園を優勝へと導き、3年生の夏にも優勝投手となった桑田真澄(のち巨人)が最古参。当時“KKコンビ”として、ともに一世を風靡し、今回は7位に並んだ
清原和博(のち
西武ほか)よりも上位につける結果となったが、
DeNAの
坪井智哉コーチが“KKコンビ”として票を入れている(桑田と清原に1票ずつとして計算)。どちらか1人を選ぶよう坪井コーチに迫ったら結果が変わった可能性はあるが、もし清原のみに投票したとしたら、“KKコンビ”が順位でも並ぶことになる。
同じく首脳陣からは、ソフトバンクの
高村祐コーチも桑田に票を投じた。「3年生の水野(雄仁。のち巨人)さんがいた池田“やまびこ打線”の破壊力が衝撃だったのに、それを1年生が完封。しかも、ホームランも打ってしまうわけでしょ? 信じられない思いしかありませんでした」と振り返る。
リアルタイムで見ていなくても、映像に残る桑田に衝撃を受けたのが
阪神の
俊介と西武の
今井達也だ。俊介は「甲子園=桑田さん、というイメージ。自分に近い世代では東北の
ダルビッシュ有(カブス)もいますが、それでも夏の甲子園と言われれば、桑田さんと即答します」とキッパリ。
今井も「1年の夏から甲子園に出て甲子園通算20勝なんて、常識的に考えて絶対にムリ! 兄貴の影響で桑田さんの動画を見まくりました。投手としてだけでなく、打撃もいい。本当に、すごい選手です」と目を輝かせる。
中京大中京・堂林翔太
現在は広島で内野手として活躍する堂林も中京大中京で2009年の夏に甲子園優勝投手となっている。打っては四番として名門を43年ぶりの頂点へと導いた。広島で同じ内野手としてプレーしている
西川龍馬は「中学生のとき見ていました。印象に残っているのは打撃です。広島で初めてお会いしたときは、堂林さんや! って、少し緊張しました」とリスペクト。
堂林を間近で見ていたのが
ロッテの
酒居知史で、「僕が(龍谷大平安の)2年生のとき、夏の甲子園初戦で対戦して1対5で敗れました。僕は控え投手でベンチから見ていたんですが、エースで四番の堂林さんは異次元。なんだ、この人は! という感じでした」と振り返っている。
興南・島袋洋奨
ソフトバンクの育成選手として牙を研いでいる島袋は、興南のエースとして“琉球トルネード”で沖縄県勢初の春夏連覇を達成。1学年だけ上だが、同郷でもあるDeNAの
嶺井博希は「沖縄出身のヒーロー。特に夏は印象が強い。沖縄大会から甲子園の決勝まで、あの厳しい暑さの中で最後まで投げ切る投手は本当に大変だと思いました」と語る。
同学年からは
オリックスの
福田周平が投票。「僕も(広陵の)3年生のときに春夏と出場しましたけど、興南、特に島袋への応援はすごかった。甲子園といえば島袋です」と振り返る。島袋にあこがれたのが同じくオリックスの
山本由伸だ。「どのシーンとか、どの試合とかではなく、春夏連覇の懸かった夏の甲子園で暑い中、1人で投げ抜いて、とにかく打者を圧倒していた。島袋さんを見て甲子園にあこがれ、甲子園で投げたいと思いましたね」という。
写真=BBM