
今季、DeNAの支配下捕手は6選手で、阪神と並んでセ・リーグ最少。若手が実戦経験を積みやすい環境にはある。山本も必死で汗を流す
8月28日、
ヤクルト戦(横浜)の延長12回。ベンチに残っていた“最後の野手”
山本祐大の一打が4時間58分の死闘に、終止符を打った。「最高です!(打った球は)何も覚えていません!」と人生初のサヨナラ打の歓喜をプロ入り初のヒーローインタビューで叫んだ。
現在、DeNAの捕手はレギュラーである
伊藤光の骨折により、
戸柱恭孝と
嶺井博希の2人体制。2年目の山本は第三捕手として一軍に帯同しているが、捕手としての技量は先輩たちには及ばない。むしろ、ルーキーイヤーの昨季、初打席で初本塁打を放ったように思い切りのよい打撃を買われている形だ。しかし、本人は自分の武器は強肩にあると言う。
「強みは盗塁を刺すこと。もっと阻止率を上げて頑張っていきたいと思います。球界No.1の
ソフトバンクの甲斐(拓也)さんの二塁送球タイムが1.72秒と言われますが、僕は1.81秒。まだまだです」
ファームでは戸柱ら経験のある捕手から、インサイドワークをはじめプロでマスクをかぶるための心得を教えられ、「一つひとつ吸収していきたい。そして1日でも長く一軍にいたい」と目標を語る。
シーズンオフにはクローザー・
山崎康晃の宮古島での自主トレに参加。「(山崎)ヤスさんに『一緒に行かないか?』と誘ってもらったんです。すごく勉強になりました」と目を輝かせ、シーズンを迎えた。プロで本塁打を放ち、サヨナラ打も経験した。次なる目標は、スタメンマスクであり、後輩思いの守護神とゲームセットの瞬間をともに迎えることだ。
文=滝川和臣 写真=桜井ひとし