
来季に向けて守備力向上に励む栗原と九鬼
開幕に向けて体を仕上げていく春季キャンプとは異なり、秋季キャンプは己を磨く場だ。一方で若手選手にとっては、来季に向けた、最初のアピールの場でもある。
ソフトバンクがキャンプを行う宮崎県宮崎市の生目の杜運動公園。球界屈指の選手層を誇る日本一チームで、静かに激しいポジション争いがくり広げられている。
お昼過ぎのサブグラウンドから一際大きな声が飛び交う。中心にいるのは捕手の
栗原陵矢と
九鬼隆平だ。第4クールで
堀内汰門が合流するまで捕手は2人のみということもあって、一軍から三軍までのバッテリーコーチほか首脳陣が熱心に指導にあたっていた。
2人は時折、苦しそうな表情を浮かべながらも懸命に練習に励む。ソフトバンクは正捕手に
甲斐拓也が座り、今季も控え捕手としてベテラン・
高谷裕亮がチームを陰で支えた。栗原らも一軍入りしている時期はあったが、優勝争いが熾烈になったシーズン終盤は2人体制。第3捕手として内野手の
牧原大成が備えるなど、若手捕手陣としては最後、悔しさだけが残った。
だからこそ厳しい練習にも根を上げるわけにはいかない。外野守備にも取り組んでいる栗原は「一番はキャッチャーとしてやりたい。キャッチャーとしてスタメンで出たい。でも、まだまだ足りないですね」。守備力は自身にとっての最大の課題だという。
チームは今秋のドラフト2位で東海大の
海野隆司捕手を獲得した。大学No.1との呼び声高い新人の存在は、さらなる刺激となっているようだ。秋季キャンプ、その後の自主トレを経て、まずは春季キャンプA組(一軍)をつかむのは? そして、開幕一軍に名を連ねるのは? 熱いバトルから目が離せない。
文=菅原梨恵 写真=田中慎一郎