
プエルトリコに行ったことで人間として成長したと語る高橋純
プロ野球の各球団はオフのこの時期、若手を中心にウインター・リーグに選手を派遣している。場所は台湾やオーストラリア、メキシコなどさまざま。派遣された選手たちは来季に向けて“何か”をつかもうと必死にプレーしている。
昨オフ、プエルトリコのウインター・リーグに派遣され、そこでの経験を今季につなげた1人が、
ソフトバンクの
高橋純平だ。2016年ドラフト1位で入団した右腕は、過去3年は一軍登板わずか1試合のみにとどまっていた。しかし今季は45試合に登板して3勝(2敗)17ホールド、防御率2.65。中継ぎとして飛躍を遂げた。
しかし、高橋純は決してプエルトリコで好結果を残して手応えをつかみ、今季の飛躍につなげたわけではない。昨オフのプエルトリコのウインター・リーグについて、高橋純本人に尋ねると「結果はひどかったです。たくさん打たれましたし、結局帰ってくるまで環境に順応することもできなかったんで」と苦笑いを浮かべた。
では、何が一番の発見だったのか。「人間性のところです。僕は今まで人に聞きたかったり話したいことがあっても、『いいや』と自分の中だけで消化して終わらせてしまうことも多かった。それがプエルトリコではみんな、常に明るくて初対面の人でも友達かのように積極的なんです。これは失礼のない範囲でちゃんと見習わなきゃなと。そこで人間関係の部分をしっかり、カラを破っていこうと思いましたね」。
“積極的なコミュニケーション”の重要性を感じた高橋純は今年、これまで以上にチーム内で“聞くこと”“話すこと”を増やしたという。気になることがあればコーチや先輩たちに質問する。「そこで得たことで『これいいな』と思うことがあったら、後輩ともそれについて話ができるようにもなります」。自分の中だけにとどめず、チームメートとも共有。今年はグラウンドを離れたところでも、たくさん先輩たちと食事にも行き、「本当に勉強になるところがたくさんありました」とうれしそうに振り返った。
学びの場は決してグラウンドの中だけではない。日本にいたのでは味わえない生活。そのすべてでいろいろなことを感じ、自分の糧とすることが大事なのだ。
今オフ、プエルトリコのウインター・リーグにはソフトバンクからは
田中正義、
杉山一樹、
三森大貴が派遣されている。彼らは異国の地でどんな経験をし、何を感じ取ってくるのか。そして、それをどのように来季につなげるか、楽しみだ。
文=菅原梨恵 写真=田中慎一郎