昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 アルトマンは言う、日本は黒人天国
今回は『1970年4月6日開幕特別号』。定価は90円。
珍しいと思うのだが、開幕直前にSFジャイアンツが来日。ただ、寒さもあってか、
巨人、
ロッテにいきなり連敗と精彩がなく、38歳のウィリー・
メイズが目立つ程度だったという。
招待は永田雅一ロッテオーナーだったらしい。歓迎パーティではロッテの
アルトマンと話していたジャイアンツの黒人選手レオン・ワグナーが、アルトマンから「日本は人種差別がなく、黒人天国」と聞き、
「オレは11年メジャーでプレーしてきたが、いつも人種差別の悲しさを嫌というほど味わってきた。人種差別のない日本でプレーしてみたい」
と酔いもあってか、涙ながらに話していたという。
巨人・
藤田元司コーチの黒い交際については“濡れ衣”だったと書いてあった。
北海道で立候補した自民党議員が、
広島の武闘派暴力団・打越会と関係があったことは事実だが、暴力団関係者が藤田コーチに依頼したわけではなく、この議員と知り合いだった(暴力団員とではない)、元広島ほかの
金山次郎から藤田コーチに依頼があったものだという(金山本人も認めている)。
議員と打越会はタクシー業界と関係があり、金山は「ロビンス」というタクシー会社を経営していたときに議員と知り合ったようだ。
さらに藤田コーチと
柴田勲が「応援演説をした」という事実はなかった。北海道では3人でサイン会をしたのみ。暴力団員との接触も一切なかったらしい(演説は頼まれたが、柴田が「オレは演説なんてできないよ」と拒否したという)。
打越会長も「柴田は知らないが、長嶋(茂雄)には会ったことがある」と発言し、これはこれでざわついたが、事実はレストランで食事の際、知人の紹介であいさつしただけ、という。
何だか吉本の話みたいになってきた。
帝京商工高がセンバツに選ばれなかったことに対し、高野連を大阪地方裁判所に訴えた話は書いたが、これは敗訴になった。
ただ、もともと不満が多かったらしく、埼玉、神奈川の高野連が選考方法への疑問と改正要望を高野連に出したようだ。
神奈川高野連の言い分はこうだった。
「現在の選考委員会は、直接高校野球に関係がない人が多すぎる。しかも同じ人が毎年選ばれ、同じ顔触れなので
ボス化の傾向がある。各地区に自主性を持たせてほしい」
最近、この連載は、問題提起のごとき過激な内容が多いが、あくまで「週刊ベースボール」のバックナンバーを1冊1冊、振り返っていこうというもの。単純に「そういう時代だった」ということだ。誤解なきよう。
まだしばらくはざわつくそうだが、そのうち呑気な記事ばかりになると思う。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM